【訪問日:2015年8月】
博物館の時間です.
今日はリトアニアの「Klaipėda(クライペダ)」でお散歩です.
リトアニアの西側に位置する街クライペダはリトアニアで3番目に大きな街で,バルト海に面し ています.リトアニアの海運を担う港町です.1252年にメーメルブルク(Memelburg)という名 前で歴史的書物に出てきており,リトアニアで最も古い町です.
今日は歴史のある街の歴史的な地区,Old Town(旧市街)の博物館をお散歩します(「クライペダ旧市街」の思ひで…もご参照ください).
城博物館(Pilies muziejus)
「KASA」と書いてある小さなプレハブがチケット売り場です.
入場料は1.74ユーロ(大人).リトアニアの博物館の入場料は(リタスをユーロ換算した料金のため)端数が多く,うまく小銭を使い切れたり...お財布がいっぱいになってしまったり...です.
パンフレットは別売りなので,詳しい説明が欲しい人はチケット売り場で購入しましょう.館内は写真撮影可能でした.
展示室では町の歴史やクライペダ城の発展を見ることができます.16世紀のストーブタイルとか17世紀の伝統的な衣服,シルバーやガラス製品も展示されており ,町の住民の生活環境を知ることができます.
町の復元模型や重要イベントの写真も掲載されていました.
この地に最初に城が建てられたのは1252年のこと.Memmelburgと名付けられました.14世紀から15世紀にかけて要塞化され,その後も改築が続けれました.17世紀には稜堡(りょうほ)も造られました.要塞を外側に突き出した形にすることで,大砲攻撃に耐えられる設計となったのです.こういった城の設備増強は1763年に争いが終わるまで続けられました.
こちらは展示スペースにあるスクリーン解説の写真です.城が作られ増改築が行われていく過程を映像と言語(英語も選択可)で解説してくれます.
軍事的な役目を終えたクライペダのお城は重要ではなくなり,防衛のための設備も次第に倒壊していきました.20世紀初頭にはほとんどの部分が撤去されたのです.跡地は造船所などとして利用されていたのですが,1968年より考古学的な調査が開始され,歴史的な価値が再認識されました.
城博物館として一般公開が始まったのは2002年です.
ですが...まだ作りかけというか改装中というか,見学できるところが限定されています.展示室が2つ(Ekspozicija 1と2)と中庭にある火薬塔です.作りかけなのか修理中なのか分かりませんが,作業をしている人もいました.
火薬塔の基礎には15世紀当時のものが残っているそうです.
次の展示室に行くと,入口では係りのおばちゃんが電話をしていました.
チケットを見せ,入ろうとするとおばちゃんが何か言っています.
「きっと電話の相手だよ」と《ころ》.でも,違ったようです.よ-く聞くと「ノット エレクトロニセ」みたいに行っているように聞こえます.どうやら電気が点かないので,見学はでいないと伝えたかったようです.電話をしながら.
《わん》「せっかく来たのに入れないなんて...」
《ころ》「暗くてもいいから見たかったね」
城の敷地内から出土した貴重なダイヤモンドのついたルネッサンス期の金のリングがあったらしいけれど…どこの展示室にあったのかな?もしかして,一番大事な展示室を見ることができなかったのかなぁ!?
住所:Pilies g. 4, 91240 Klaipėda
開館時間:火曜から土曜の10:00–18:00(チケット販売17:30まで)
URL: http://www.mlimuziejus.lt/en/expositions/the-castle-museum/
小リトアニア歴史博物館(Mažosios Lietuvos istorijos muziejus)
クライペダ地域の歴史博物館です.入場料は1.45ユーロです.写真撮影は可能でした.
博物館の建物はクライペダ旧市街の中でも歴史のあるもので,18世紀末に建てられたバロック様式の商家だそうです.角にあるのが博物館の建物です.
その左隣の建物を見てください.クライペダにはドイツにあるような木組みの建造物が多く見られます.旧市街に残る木組みの家はドイツ時代の建築で「Fachwerkbau」と呼ばれています.クライペダの街は城を築いたリヴォニア騎士団の衰退後,プロイセン領となりドイツ帝国の東の街として発展を続けたのです.
博物館内には,プロイセン領から独立しリトアニアに編入された後,再びドイツ領や旧ソ連領となった歴史を紹介するコーナーもありました.帝政ローマ時に造られたコインの展示もあります.これらはクライペダで発掘されたもので,バルト海沿岸に住んでいた人々がローマ帝国と通商関係を持っていたことを表しています.
19世紀以降のプロイセンとロシアの紙幣のコレクションもありました.他にも民族,歴史,琥珀の装飾類などが集められています. 昔の写真やポストカードも保存されています.
小リトアニア歴史博物館ですが,“小さい”という意味ではありません.英語では「Lithuania Minor」と表記されるのですが「Lithuania Minor」とは地域のことです.プロシア語を話すプロイセン人が多く住んでいた地域なのだそうです.
地図も展示されていました.街が描かれている左下の部分が小リトアニア(Lithuania Minor) を含む地域です.この地域は現在,ロシアの領土(カリーニングラード州)に大半が含まれています.
小リトアニア歴史博物館は4フロアーくらいあって広く,見るのが大変でした.やっぱり“小” ではありません! 民族に関する展示もあります.20世紀になる頃にクライペダに住んでいた人々の日常生活を見ることができるのです.
家具や衣服にはクライペダ地域の特徴があります.クライペダ地域に住んでいた女性用のスカートなどはリトアニアの他地域の衣服と縫い方が異なっているそうです.そこまで詳しく見なかったなぁ...コートやチョッキはウールやベルベットで作られていました.
この装置で羊毛を整えたのかな!?
養蜂やパンづくりに用いられた器具も展示されています.天蓋付きのベッドやゆりかごにも地域的な特徴があるのだとか.家具の絵付けに用いられている色や模様も特徴のひとつです.クライペダの当時の家具の中にはドイツ文化の影響を受けたと分かる品もあるそうです.展示物の解説はドイツ語でも書かれていました.
住所:Didžioji Vandens g. 2, 91246 Klaipėda
営業時間:火曜から土曜の10:00–18:00(チケット販売17:30まで)
URL:http://www.mlimuziejus.lt/en/expositions/the-history-museum-of-lithuania-minor/
鍛冶工博物館(KALVYSTĖS MUZIEJUS)
ここは有名な鍛冶職人の建物を改装したものなのだそうです.
入場料は1.45ユーロです.
クライペダの鍛冶工は16世紀に既に知られていました.19世紀中頃には金属で十字架や墓のフェンスを作り始めました.この地方の伝統工芸である鋳鉄製品はユネスコの無形文化遺産にもなっているそうです.
ミュージアムには当時の製造風景が浮かぶような品も展示されています.
G. Katzkeの鍛冶屋を再現したものです.
ドアノブのようなものやドアの飾りも造られていました.《ころ》のお気に入りは,こちらの傘立てです.
中庭にも展示スペースがあり,柵や装飾が施された十字がありました.
小リトアニア(Lithuania Minor)の十字架は植物のような形の装飾品がついているという特徴があるそうです.
ミュージアムにはショップスペースもあり,少しですが作品が販売されていました.バラの花に加工した作品は25ユーロくらいでしたよ.
住所:Šaltkalvių g. 2, 2 a, 91246 Klaipėda
開館時間:火曜から土曜の10:00–18:00(チケット販売17:30まで)
URL:http://www.mlimuziejus.lt/en/expositions/the-blacksmiths-museum/
今日は3つのミュージアムをお散歩しましたが...
この3つの施設には共通チケット(大人2.9ユーロ)があるようです.
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
【Klaipėdaへのアクセス】
首都ヴィリニュス市内から車で行く場合は, A1を進みます.クライペダまでは300kmほどありますが,高速道路が整備されています.
(リトアニアでの運転)
速度制限は,街中:50km/h,郊外:90km/h,主要高速道路:110km/hです.ヘッドライトは常に点灯させる必要があります.高速道路は無料です.高速道路にはバス停が設けられていたり,Uターンレーンがあったり,側道を人が歩いていたりするので運転には注意しましょう.
リトアニア
バルト三国の1つでラトビア,ベラルーシ,ポーランド,ロシア(カリーニングラード)と国境を接しています.バルト海をはさんだ西側にはスウェーデンがあります. 1940年に旧ソ連邦に編入され,1990年ソ連からの独立宣言を議会で採択しました.2004年にはエストニア,ラトビアとともにEU加盟しています.リトアニアが2015年1月にユーロを導入したことで,バルト三国すべてでユーロが流通することとなりました. 公用語のリトアニア語はバルト系言語で,ラトビア語と同じグループに属します.宗教は主にカトリックで,文化面はポーランドの影響が大きいと言われています.
国名 | Republic of Lithuania(リトアニア共和国) | |
人口 | 291.6万人 | |
面積 | 約6.5万平方キロメートル | |
言語 | リトアニア語 | |
通貨 | ユーロ(2015年に導入) | |
時間 | UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間) |
二宮書店編集部(2015)『データブック オブ・ザ・ワールド 2015年版』二宮書店.
Danguolė Kandrotienė (2015)「Lithuania 100 places to visit」TERRA PUBLICA(978-9955-652-99-1).
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
Klaipeda Tourism and Culture Information Centre: http://www.klaipedainfo.lt/en/