ルクセンブルク「ルクセンブルクの鉱山」の思ひで…

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2019年9月】


観光の時間です.
今日はルクセンブルクの「リュマランジュ(Rumelange)」でお散歩です.

f:id:osanpowanko:20190901143502j:plain

ルクセンブルク市ではなく,南の方の町をお散歩.Rumelangeという町にあるマイニングミュージアムです.

 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain The Minett Tour 

金融センターとしての印象が強いルクセンブルクですが,古くから鉄鋼産業がありました.1840年代に南部で鉄鉱石が発見されたことに産業発展の始まりがあります.鉄鉱石産業は19世紀半ばの経済成長を支えました.アルセロール (Arcelor) という鉄鋼メーカーが有名です.2006年にオランダのミタルスチールの統合し世界最大の鉄鋼メーカー,アルセロールミタル(ArcelorMittal)となっています.

1974年にピークに達した鉄鋼産業は,輸出の70%を,そしてルクセンブルクのGDPの1/4を占めていたそうです.鉄鉱石は国の主幹産業ではなくなりましたが,博物館としてその歴史を伝えています.


Minett Tour linksはルクセンブルク南部にある5ヵ所の鉄鋼産業遺産です.

f:id:osanpowanko:20191219182708p:plain

(公式ホームページより作成)

今回はNational Mining Museumをお散歩しました.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain National Mining Museum(MUSÉE NATIONAL DES MINES DE FER)

住所:Rue de la Bruyère - Carreau de la Mine Walert, 3714 Rumelange
営業時間:木曜から日曜の14-18.1日3回(14:30,15:30,16:30)のガイドツアーに参加し見学.ツアー開始30分前に受付することをお勧めされています.10月から3月は第二日曜日の14:30のみ.詳細はこちら

URL:http://www.mnm.lu/index.php?lang=en

 

鉄鉱石の採掘現場を見学できるミュージアム.
19世紀半ばから1990年代のルクセンブルクにおける鉄鋼採掘関連の道具や機械を1時間半くらいのガイドツアーで見学します.入場料は9ユーロでした.

f:id:osanpowanko:20190901143844j:plainチケットオフィスは,ちょっとしたショップになっています.
チケットオフィスの周辺にはカフェや小さな公園もあり,ガイドツアーまでの空き時間を過ごせます.

f:id:osanpowanko:20190901145632j:plain

《ころ》「写真に写る《わん》と《ころ》を探してね♪」

 

ヘルメットをかぶって出発♪

f:id:osanpowanko:20190901152710j:plain

列車mine trainに乗って,岩すれすれのトンネル内を進むこと20分.地下鉱山へ...

コレクションが展示されているのは洞窟内.けっこう寒いです.チケットオフィスでジャケットを貸してくれるので,借りたほうが良いと思います.
《ころ》「寒くても,帰りの列車が迎えに来るまで出られない...」

f:id:osanpowanko:20190901155441j:plain

明かりを消すと真っ暗になる坑内では,当時の作業の大変さを少しだけ感じることができます.炭鉱労働者の生活や仕事環境についての解説もありました.労働組合による交渉が行われ,彼らの仕事環境や輸送方法が改善されたそうです.


ガイドさんと一緒に進むガイドツアー.

f:id:osanpowanko:20190901154619j:plain

ガイドさんはフランス語専門なので,英語はオーディオガイドで聞きます.

《わん》「英語の音声解説は短いね.」

《ころ》「かなり短いね.」
オーディオガイドはすぐに終わってしまいますが,進むペースはガイドさんに合わせる必要があります.音声ガイドを聞くポイントに番号が付いているのですが,表示されている番号以外にも聞ける番号があったり...最後の方は,重機「○○ユンボ(yumbo)」の解説ばかりでした!

f:id:osanpowanko:20190901163243j:plain

f:id:osanpowanko:20190901165643j:plain

緑のユンボ,黄色のユンボ,オレンジのユンボ...それぞれの得意分野があったようです.タイヤだけでも1mくらいありそうな大きな重機が狭い洞窟内に並んでいました.

露天掘りの現場や輸送方法など解説しています.1つのカーゴに採掘物が2.7‐3.7トンも入るそうです.

f:id:osanpowanko:20190901161109j:plain

f:id:osanpowanko:20190901162715j:plain仕事をしている姿のマネキン,当時の写真や解説パネル,グラフなどもありました.
1958年から生産量が減り始めたようで,100年間で5億トン採石したとのこと.
f:id:osanpowanko:20190901155231j:plain1870年に列車ができたそうですが,馬が運んでいた時代もあります.

f:id:osanpowanko:20190901161527j:plain

《ころ》「馬が3トン以上のカーゴを運んだんだって!!」カーゴが3つになると重たくて,歩いてくれなかったようです.

鉄鉱石を採掘するには,まず,ダイナマイトで爆破します.

f:id:osanpowanko:20190901163807j:plain

どんなふうに設置したら効率よく爆破・回収できるかなどを話していたようでした.地質条件などにより更なる機械化が進められなかったため1963年に閉山しています.

 

ルクセンブルク南部にひろがる鉱山.

f:id:osanpowanko:20190901145552j:plainロレーヌ地方で産出される鉄鉱石(赤鉄鉱)に由来し,この地域は「ミネット(Minett)」と呼ばれるようになりました.

f:id:osanpowanko:20190901171250j:plain
金融業やIT産業が盛んな豊かな国のルクセンブルク.かつて城壁に囲まれていた旧市街のルクセンブルク市とは違った雰囲気を見ることができます.

 

(写真クイズの正解「《わん》と《ころ》は写真右端,積まれた岩と一緒に写っています!」)

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

  


  

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain ルクセンブルク

 

f:id:osanpowanko:20191012170224j:plain 

ベルギー,フランス,ドイツに囲まれた小さな内陸国.首都は国名と同じルクセンブルク(市).
ルクセンブルクの小さな町シェンゲンで,ヨーロッパの大部分における人と物資の自由な移動や国境管理を撤廃する「シェンゲン協定」が署名された.
鉄鋼業で栄え,70年代からは金融業が成長を支えた.近年はハイテク産業も盛んでスカイプやアマゾンが拠点を置いている.周辺国から働きに来ている人が多く,労働力の45%が越境労働者と言われている.これが一人当たり国民所得を押し上げている.GDPの大半をサービス産業が占めているが,国土面積の85.5%が農地もしくは森林.ブドウ畑からは良質な辛口白ワインを産出することで知られている.

 

国名 Grand Duchy of Luxembourg(ルクセンブルク大公国)

f:id:osanpowanko:20191219184753g:plain

人口 61万人
面積 2,586平方キロメートル
言語 ルクセンブルク語,フランス語,ドイツ語
通貨 ユーロ(EUR)
時間 UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間)

 

 

【参考ホームページ・参照文献】

川野祐司(2019)「ヨーロッパ経済の基礎知識2020」文眞堂. 

De Minett:http://www.minetttour.lu/en

Visit Luxembourg:https://www.visitluxembourg.com/en