ノルウェー「トロムソ大学の博物館」の思ひで…

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観光,博物館の時間です.
今日はノルウェーの「トロムソ(Tromsø)」でお散歩です.

 

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トロムソには大学が運営する博物館が4ヵ所,さらに科学体験館があります.
The Arctic University Museum of Norway:https://en.uit.no/tmu

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 4つの博物館

1872年に設立された北部ノルウェーで最も歴史のある研究機関.大学の所属になる前から研究活動が行われていました.

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4つの博物館はすべてトロムソイヤ島にあります.南から順番に
・Tromsø Museum
・MV Polstjerna
・Polar Museum
・Tromsø Arctic-Alpine Botanic Garden

営業時間や入場料は公式ホームページ:https://en.uit.no/tmuの右端の方でご確認ください.なお,トロムソ博物館とポーラー博物館で使えるコンビチケット,80クローネもあります(7日間有効).


4つの博物館は,それぞれバスで行くことができます.
トロムソミュージアムへ行ける37番のバスの時刻表(トロムソミュージアムからポーラーミュージアム方面)です.

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《ころ》「到着した時に,次に乗る予定のバスを調べよう!!」
トロムソミュージアムからのバスは平日なら20-30分に1本ですが,日曜には1時間に1本になってしまいます.帰りのバスの時間を考慮し博物館での時間を過ごしましょう♪

ポーラーミュージアム近くのバス停は,さりげないです...

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写真右側,建物の壁から青い(バスのイラストが描かれた)看板が突き出ているのが分かりますか???
これがバス停です.時刻表は建物の壁に貼ってありあます!

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乗りたいバスが着たら手を挙げて運転手に主張しましょう!!
待っている人やたくさんのバスが来る混雑したバス停では,バスが後ろの方に停まってしまったり,乗りたいことに気が付いてもらえなかったりします.正しいバスの停車位置でもう一度停まってドアを開けてくれたりなどしません! 自分が乗りたいバスが来ていないかしっかり確認し,乗り込むことが大事です.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Tromsø Museum(トロムソ博物館)

ポーラリア前から37番で来ることができます.

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北ノルウェーの文化や自然を紹介する博物館.
《わん》「大学の機関ってこともあって,最新の研究結果が展示に反映されてるんだって♪」
ミュージアムショップではサーミの本やアクセサリー,帽子などを販売していました.

展示内容は豊富で,サーミの文化,北極の生物,考古学,ヴァイキングのこと,キリスト教に関するアートまで...ノルウェーの他の博物館と比べると安くて見ごたえのある博物館です.

新しい友達もできました!

 

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トロムソで見られる自然現象,オーロラについてのコーナーもあります.
オーロラは極点を中心に楕円形のエリアに発生します.トロムソのあるスカンジナビア半島北部はオーロラが数多くみられるスポットなのです.トロムソにおけるオーロラ研究は100年近い歴史があり,1920年代後半ににはオーロラ観測所が設立されています.研究の過程やオーロラの写真が展示されており,プラズマでオーロラ発生の仕組みを解説していそうな機械もありました!
《わん》「手で触れるとオーロラ!?を作り出せたね♪」


人間の生活が野生動物にどんな影響を与えるかというテーマでの展示.なかなかリアルな場面が再現されていました.

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ヤマネコから逃げる羊の顔もとってもリアルです!

先住民族のサーミのことを紹介するコーナー「Sami culture」.特にオススメされているエキシビションです.狩猟や漁業,トナカイの牧畜といったサーミの暮らしが紹介されています.帽子やベルトなど手作りの伝統的衣装も展示されていました.

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色や模様がとても美しかったです.
サーミに関する紹介は,第二次世界大戦後の出来事にフォーカスした展示もありました.

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博物館では伝統的な生活に焦点が当てられがちですが,それは現実とはかけ離れたものです.今日ではサーミ(サーメ)人の約95%が,他のノルウェーの人々と同じような社会生活を営んでいるそうです.このエキシビションでは政府によって抑圧されてきた先住民の社会的,文化的地位の回復の過程が紹介されています. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain MV Polstjerna

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水族館ポーラリアの隣にあるガラス張りの建物.この中にPolstjernaという船が展示されています.

アザラシ猟の船でとても保存状態が良いのだとか.アザラシ猟は北極地域の重要な産業でした.1949年から32年間,この船は何度も猟に出て,9万7千頭ものアザラシを持ち帰ったと言われています.

 
2018年8月末はメンテナンスのため休業中でした(営業日は6月15日から8月15日の11:00-17:00).

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Polar Museum(ポーラー博物館)

建物は1830年の旧税関の建物(tollbodbrygga),倉庫だそうです.
この波止場周辺にある木造の建物はトロムソに残っている最も古い建物たちです.

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極地探検と極寒の地での猟についてや船乗りの伝統など,写真・パネル・剥製といった展示方法で説明されていました.極地探検をした人たちの手紙や日記,極地での生活の様子も紹介されています.
《ころ》「働き者の犬たちの映像だ!」

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トロムソがアシカ(アザラシ)猟の中心地だったことも紹介されています.

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最も盛んだったのは第一次大戦直後のこと.100近い舟がトロムソを拠点として活動していました.タテゴトアザラシ(harp seal)は生後3-4週間で白く美しい毛が生え変わっていきます.もちろん今では禁止されていますが,昔は白い毛のうちに獲ることが重要視されていました.


英語の解説冊子を貸してくれるけれど,一つ一つの展示にも説明がついています.解説冊子には極地野生生物の生態なども分かりやすく書かれています.狭い展示ルームに展示物がたくさんで解説もあり,人をいっぱいに感じます.

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ナンセンの最初のフラム号での冒険を紹介する部屋もありました.アムンゼンが1925年の探検で使ったスキー板も展示されています.

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《わん》「こんな板で極地の厳しい環境の中を進んだんだね」

《わん》「あ‼ シロクマ君あぶない!」

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これはシロクマ用罠の展示.シロクマがエサの入っているボックスをのぞき込みエサをかむと,銃が発射されるという仕組みです...この“self shooting trap”は1970年に禁止されたそうです.
 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Tromsø Arctic-Alpine Botanic Garden(植物園)

42番バス,Breivikaで下車.町中の方から来た場合は道路を渡る必要があります.大きな道路は地下道になっています.

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《わん》「左側(UNN)の方向だね♪」バス停からは徒歩5分くらい.駐車場を通り抜けるとあります.


《ころ》「世界最北のボタニカルガーデンって紹介されてるよ!」無料で見学できますが寄付もできます.

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《ころ》「寄付金はお札でも受け受けてます!」園内で育てられている植物の中には,“rescue cultivation”(野生では絶滅の危機に瀕している種の栽培)もあります.

北極-南極地域の植物や高山植物,スバールバル諸島の植物も栽培されています.ユキノシタやリンドウ,サクラソウ科の植物もあるそうです.

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《わん》「岩や石の間で育てられているね! 高山植物が自生している環境を再現してるんだって.」
8月末のお散歩は寒い日もありましたが,青い花が綺麗に咲いていました.ヒマラヤの青いポピー(Tibetan blue poppy)だと思います.他の植物園ではあまり見ることのない花なのだとか.f:id:osanpowanko:20190305173733j:plain

園内の花の見ごろは5月から10月だそうです.Tromsø Museumのウェブサイトに開花情報が掲載されるようです.園内の南向きの斜面にはトルコや南アフリカなど暖かい地域で見られる植物もあるそうです. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain The Science Centre of Northern Norway

住所:Hansine Hansens veg 17, 9019 Tromsø, Norway
営業時間:月曜から日曜の11:00-16:00(夏は開館時間が延長されることがあるそうです).
URL:https://nordnorsk.vitensenter.no/?language=en


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バス20番で来ることもできます(詳細はhttps://nordnorsk.vitensenter.no/en/transportation?language=en).大学キャンパスの近くに位置しています.大学のボタニカルガーデンから森の中を歩いて来ることもできます.

大人120クローネ.科学数学の知識を体験できる施設です.

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天気や環境,エネルギー,人体や脳など様々な分野における,身の回りの不思議を勉強でます.展示は英語での解説もあります.

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凹凸を利用した浮き出る壁.デジタル画像の最小単位ピクセルについて体感できる展示.少ない画素数でも脳が補ってそれっぽく認識してくれるはず...

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上手くできるかなぁ?

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こんな感じにインタラクティブな装置が80ほどあります.

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小さな子供だけではなく,大人たちも体験できます.風力や潮流発電のこと,石油からできているものなどノルウェーならではのコーナーもあります.

この施設で最もお勧めされているのがオーロラシアター.プラネタリウム(Northern Lights Planetarium)です.
《わん》「ノルウェー最大のプラネタリウム施設なんだって!」
リクライニングシートでのんびりとくつろぎながら約25分間の上空にほろがるオーロラの景色を楽しめます.オーロラ映像と説明ですが,他の博物館で見たのと同じような内容.
《ころ》「ここは入場料も高いから,ポーラリアで見るだけでも十分だね♪」
英語での解説は13:15と15:15の2回でした(内容や時期によって14時からのこともあります).

トロムソは日照時間の長い夏に来てもオーロラを楽しめる町なのです.

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つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

  


f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain ノルウェー

 

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スカンジナビア半島の西に位置し,スウェーデン,フィンランド,ロシアと国境を接している.西側は長い海岸線となっており多数のフィヨルドがみられる.本土の北に位置するスヴァールバル諸島(Svalbard)もノルウェー領.南北に細長い国土は,北半分くらいが北極圏で,夏と冬で昼夜の長さが大きく異なる.フィヨルドと独特の地形を見せる山々,手つかずの自然,オーロラなど大自然の魅力に惹きつけられた人々が訪れる国.
EU加盟国ではないがEEA(欧州経済領域)に参加しているため,EUの単一市場にアクセスできEU加盟国と自由な交易を行うことができる.シェンゲン協定国でもあるため,エリア内の自由な往来も可能.主産業は石油,天然ガスでイギリスやドイツへ輸出している.天然資源からの収入は政府系ファンド「ノルウェー政府年金基金グローバル」に積み立てられており,外国企業に投資されている.GDPに占める割合は小さいが水産業も盛んで,養殖サーモンは日本にもたくさん輸出されている.

 

国名 Kingdom of Norway(ノルウェー王国)

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人口 525.8万人
面積 約38.6平方キロメートル
言語 ノルウェー語
通貨 ノルウェ-・クローネ(NOK)
時間 UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間)

 

 

【参考ホームページ・参照文献】

川野祐司(2018)「ヨーロッパ経済とユーロ 補訂版」文眞堂.
二宮書店編集部(2018)「データブック オブ・ザ・ワールド 2018年版」二宮書店.

 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

Visit Norway:https://www.visitnorway.com/

Visit TROMSØ!:https://www.visittromso.no/en 

 Cruise Norway:https://www.cruise-norway.no/