【訪問日:2016年8月】
博物館の時間です.
今日はスウェーデンの「カルマル(Kalmar)」でお散歩です.
800年以上の歴史を持つカルマル城.ここで1397年7月13日,デンマーク女王マルグレーテ1世がスウェーデンとノルウェーの首領を集めてカルマル同盟に署名しました.この同盟は1523年にスウェーデンでグスタフ・ヴァーサが即位するまで続きました.
現在の姿は16世紀にグスタフ・バーサ(Gustav Vasa)がルネッサンス様式に改めさせたものです.
カルマル城は町中から少し離れたところにあります.カルマル大聖堂のある町中心部からは1㎞ほど,中央駅やツーリストインフォメーションからは0.5㎞ほど離れていますが,歩いていける距離です.途中に公園もあるので,お散歩に最適です.
Kalmar Slott
2016年8月にお散歩した時の入場料は大人120SEKでした.入場価格や時間はシーズンなどで異なります.展示フロアは2つあります.それぞれの階に部屋がたくさんあるので,説明を読みながらだと結構時間がかかると思います.
16世紀のお城のキッチンです.
王様の滞在中は,王の一家,使いの者,兵士などなどたくさんの人に料理を提供したため,大忙しだったようです.
模型を使った展示もありました.
次の写真,Gray Hallダイニングルームとして使われることもあったようです.
《わん》「広い部屋だねぇ」 《ころ》「お客さんいっぱい呼ばなきゃ」 《わん》「食費がかかるねぇ」
1580年代中頃にJohan Ⅲが住んでいた頃のイースター祭りの様子が再現されています.食卓にある“白鳥”などの鳥は豪華に見せるためのお飾りです.
城内には調度品や装飾がそのまま残されています.King's Chamberは保存状態の良い部屋の一つです.
天井や壁の上のほうには美しい装飾が残されていました.
天井部分や象眼細工はドイツ人マイスターによって作られたものなのだとか.狩のシーンをデザインした漆喰のパネルは1570年ごろに加えられたものです.1850年代に復元され色鮮やかなものになっています.
面白い場面があったので,
ズームで撮影していたら...係りの人に見られてしまいました.この部屋にある暖炉の左側には王様のトイレへと通じる秘密の扉があったのだとか.
続いては,Golden Hall.ホールというだけあって広々とした空間です.
部屋の名の由来でもある金メッキされた天井がポイントです.1576年にできたこの天井は,1872年に取り換えられて以来あまり手を加えられていないそうです.
城内にある礼拝堂(Church)も一見の価値があるといわれています.
特別展
2016年夏にお散歩した時の特別展です.
【10 ways with Swedish glass】(2016年10月30日まで)
スウェーデングラスの伝統を受け継いだアーティストが生み出した新たな作品を展示しています.展示会場であるBurnt Hallには,部屋いっぱいに作品が展示されていました.
歩くと作品が揺れるので...ちょっと怖かったです.
作成風景の映像もありました.大きな(花瓶のような)作品は4、5人で協力して作っていました.なんども模様を重ね作り上げていました.柄を重ねるタイミングやガラスの熱し具合など,作業風景からは緊張感が伝わってきました.
【Emil!】(2016年11月6日まで)
Emilの特別展にはスウェーデンのイラストレーター,絵本画家Björn Berg(ビョーン・ベリ)の作品が展示されています.ビョーン・ベリは,スウェーデンの児童文学作家Astrid Lindgren(アストリッド・リンドグレーン)の作品,エーミル(Emil)シリーズで挿絵を手掛けています.また,teskjekjerringa(ノルウェー語でティースプーンおばさん)の挿絵も書いていたそうです.teskjekjerringaは日本で1980年代にアニメ化された『スプーンおばさん』です(アニメのキャラクター画は日本で独自にデザインされたものだと思います).ちなみに,スプーンおばさんはノルウェーのAlf Prøysenの作品です.
ビョーン・ベリが書いた原画も展示されていました.さらに作品の世界を再現した,子供が遊べるスペースも設けられていました.
日本のアニメよりもほっそりとした感じですね.
rampart
城を取り囲む城壁部分は無料で見学できます.カルマルは,デンマークが南スウェーデンを占領していた時代,カルマル付近は国境となっていたため戦略的に重要な地でした.
カルマル城があるこの場所には,1180年に監視用の円形塔が建てられました.その後,塔や城壁が増設されマグヌス4世(在位1319-1364年)が統治した時代にはスウェーデンで最も高度な技術がつかわれた要塞でした.その後も,グスタフ1世以後の歴代の王によって大砲の塔や稜堡,土手などの防衛システムが増強されていきました.
Stadsparken(Kalmar City Park)
カルマル城の隣は公園になっており,この公園を通り抜けると中央駅の方へ行くことができます.
公園内には花や木が植えられており,きれいに整備されています.お散歩をした時も係りの人が花壇の手入れをしていました.
竹やスズカケノキ(plane),フランジパニ(frangipani)といった外来種も植えられているのだとか.
《わん》「あ,カルマル美術館Kalmar konstmuseumだ.」
木製のパネルで覆われた黒く四角い建物はコンテストで選ばれました.Martin Videgård HanssonとBolle Thamによるデザインです.
2008年に新たにオープンしたカルマル美術館には19世紀から20世紀におけるカルマル地方の美術史を見ることができます.
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
【今回の観光地】
Kalmar Slott
Kungsgatan 1, 392 33 Kalmar
営業時間:
6月から8月は基本的に毎日(10:00-18:00)開いていますが,詳細は公式ホームページでご確認ください.
公式URL:http://kalmarslott.se/english
お城周辺には駐車場もあります. 道路沿いに止めるタイプもありましたが,今回はお墓の横にある広場の駐車場に止めました.Söderportsgatan通り沿いです.止める場所によって利用可能時間や金額が異なるので注意してください.
この場所は4時間(4 Tim)までならタダで止められます.機械でチケットを購入する必要はありませんが,車を止めた時間を忘れずに示しておきましょう.時間があっていないと駐車違反になります.レンタカーなら止めた時間を示すタイマーがフロントガラスに付いていると思います.デンマークやスウェーデンでは,無料駐車場での時間の表示は必須です.
スウェーデン
スカンジナビア半島の東側に位置するスウェーデン.北西部のノルウェーとの国境にはスカンジナビア山脈があります.国内には約9万もの湖沼が存在し,またストックホルム群島(Stockholms skärgård)には2万4千もの島々が点在するなど独特の地形を有しています.
国土は南北に細長く,国土の約14%は北極圏に位置し,夏至前後の1-2ヵ月は太陽が沈みません.北部の冬は7ヵ月にも及びます.一方,南部は北大西洋海流の影響を受けるため高緯度にもかかわらず比較的温和な気候です.人口の90%は南半分に居住しています.
1995年にEUへ加盟しましたが,通貨統合への参加は見合わせており,ユーロは導入していません.スウェーデンの中央銀行リクスバンク(Sveriges Riksbank)は,1668年に誕生した最古の中央銀行として知られています.
国名 | Kingdom of Sweden(スウェーデン王国) | |
人口 | 968万人 | |
面積 | 約45万平方キロメートル | |
言語 | スウェーデン語 | |
通貨 | スウェーデン・クローナ(SEK) | |
時間 | UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間) |
二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店.
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
新世紀シリーズ「スウェーデン」(ISBN 88-476-1805-3),Casa Editrice Bonechi.
在日スウェーデン大使館公認 観光情報サイト:http://letsgo-sweden.com/
Kalmar Tourist:https://www.kalmar.com/en