ラトビア 「ヴェンツピルス(Ventspils)」の思ひで…

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2015年8月】

 
観光の時間です.
今日はラトビアの「Ventspils(ヴェンツピルス)」でお散歩です.

 

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ヴェンツピルスはバルト海に面した港湾都市.リーガと同様にハンザ同盟の加盟都市でした.17世紀には高度な造船技術を持つ町としても有名だったそうです.

今日は休日だったので操業していませんでしたが,海沿いにはこんな施設がありました.

 

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ラトビア政府はリーガとヴェンツピルスを自由貿易港に指定し中継貿易を推進しています.(参考:Free port of Ventspils
ヴェンツピルスの代表的な株式会社はVentspils naftas terminalsです.2015年の純利益は1400万ユーロと,バルト諸国で最も大規模な原油・石油の積み替え企業です.ロシアなどからの石油製品を受け取り,各国向けのタンカーに積み込む作業を行っています.

ヴェンツピルスでは輸出入関連の企業だけで22.5%の雇用が創出されています.不凍港であり水深も深いという地理的要因のため港を利用した輸送と保管が経済の主要セクターとなっていますが,近年では製造業とサービス部門が伸びているそうです.


貿易港は観光に関係ない...と思う人もいると思いますが,ヴェンツピルスにはブルーフラッグを取得しているビーチもあります♪

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 町中にいるたくさんの牛

 

ヴェンツピルスは「海と船と花の町」とも言われています.公園やメイン通りの花壇などが美しく整備された町です.

《ころ》「あ‼ ウシ!」
車から窓の外を眺めていた《ころ》は思わずシャッターを切りました.

 

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この牛は“Flower Cow”.4m×7mの大きな牛さんです.毎年1万もの花が植えつけられるそうですよ.

【Cow Parade in Ventspils】
2002年と2012年,ヴェンツピルスは国際的なアートチャリティーイベントであるCow Paradeの主催地となりました.グラスファイバーで作られた牛のアート作品がチャリティーオークションで売買されました.購入された作品は新たなオーナの元へとわたりましたが,町にもいくつか作品が残されています.
いくつかというか,結構たくさんあり,色とりどりの‟牛(cow)”のアート作品が町中に点在しています.ラトビアのアーティストが手掛けた作品もあるようです.

町のシンボルともいえるのがこちら.

 

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大きな大きな牛です.水兵をイメージした感じの柄,頭にのせられたニット帽がかわいいです.この“Sailor Cow”は町の防波堤(南桟橋)に立ち町を訪れるゲストを迎えているのだそうです.
バルト海に突き出したDienvisu mols(南桟橋)にいるのですが,ここに来るまではちょっと大変でした.

 

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こんな感じの砂だらけの道を歩きます.風が強くて砂が舞っているし,飛ばされそうでした.

牛たちは町の中心部にもたくさんいます. 

 

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町中に点在する牛を見て回るためのWALKING MAPもあります.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain インフォメーション

 

Dārzu street 6にあるツーリストインフォメーションです.

 

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フェリーターミナルでもあり,スウェーデンのNynäshamn行きやドイツのTravemünde行きがあるようです.

Ventspils Tourism Information Centre
住所:Ventspils district, Dārza iela 6, Ventspils, LV-3601
営業時間:5月から9月の平日は08:00-19:00.(土曜日は09:00-19:00,日曜日は10:00-16:00)
10月から4月の平日は08:00-18:00(土・日曜日は10:00-16:00).

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain VENTI

 

ヴェンツピルスのツーリストインフォメーションにあったのは「BANK OF VENTI」.

 

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BANK OF VENTIはツーリストインフォメーション内に2011年12月にオープンしました.銀行の看板をよく見ると分かるのですが,お札はユーロではありません.
この銀行が出しているのは‟Venti”(sing. 'vents')というヴェンツピルス独自の通貨です.通貨といっても金銭的な意味を持つものではありません.ヴェンツピルスのVentiは観光客がヴェンツピルス観光をちょっとお得に楽しむための地域通貨です.

2011年10月から始まった地域通貨の発行.現在では5,10,20,50,100,500の6種類のお札があります.全てのお札には町のどこかにる‟牛”がデザインされています.

 

Ventiを得る方法は,写真をアップロードしたり,パズルを解いたり,ヴェンツピルスについて勉強したりなどちょっとユニークです.ツイッターやフェイスブック,グーグルアカウントといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のアカウントを必要とします.
「AUGMENTED REALITY PHOTO」という方法では,写真のアップロードにアプリを使います(App "Ventu banka" can be downloaded in App Store and Google Play).ヴェンツピルスの観光地に設けられたポスターの前で写真を撮り,それを投稿しventiをもらいます.
町中にある自転車ラックのそばで写真を撮り投稿する「BY BICYCLE AFTER VENTI」の方法では写真1枚につき50ventiを得られます.
牛のオブジェと一緒に写った写真を投稿する「FIND THE COWS IN VENTSPILS」もあります.1枚につき10ventiの収入です.上限が設定されており,1人2000ventiまで貯めることができるようです.

 

ゲーム感覚で稼いだventiはヴェンツピルスの観光地で使えます.
例えばリヴォニア騎士団城では大人2.10ユーロで支払うか,1.40 EUR + 70 ventsのどちらかを選べます.プラネタリウム「VENTSPILS CREATIVE CENTRE WITH PLANETARIUM」では大人3ユーロで支払うか,1.55 EUR + 120 ventsのどちらかを選べます.

上記の例が示す通り『1ユーロ=××venti』といったレートは存在しません.またVentiはユーロと交換することもできません.全額をventiで支払うといったこともできなさそうなので,‟割引になる”といった感覚ですね.レストランや宿泊施設でも使える場所があります.市内55ヵ所以上の施設で支払いに使うことができるそうです.


最初に紹介したツーリストインフォメーションの「BANK OF VENTI」以外にもVentiを引き出せる場所があります.Hotel of OC "Ventspils"(Lielais prospekts 33)はBANK OF VENTIの支店として営業しています.

Ventiを使ったた観光PRキャンペーンは,クリエイティブなPRを選ぶ(The Holmes Reportによる)国際的なランキングに選ばれています(2013年).100万人もの人がVentiの企画に参加し,3200万Venti以上が保有されているそうです.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Ostas Iela

 

Venta川沿いの道がOstas通りです.川が海へ注ぐ直前の場所なので,川沿いといっても土手道といった雰囲気はありません.

 

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Ostas通りはツーリストインフォメーションからリヴォニア騎士団城の方まで続いています.
Venta川の河口を巡る舟ツアーの乗り場もありました(PLEASURE BOAT‟HERCOGS JĒKABS”」).

お土産などを売る出店も少しだけあり...

 

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くるくるにカットされたジャガイモを揚げたおやつを買いました♪
1.5ユーロは高すぎ...と思いましたが,おばあちゃんが,作っている過程を見せてくれたので「まぁいいか...」.サクサクの塩味でした.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Ventspils Livonijas ordeņa pils(リヴォニア騎士団城)

 

この中世の要塞は1290年の歴史的書物にも記録が残るとても古いお城です.
17世紀にかなりの部分が建て直されたそうですが,中庭のある構造はそのまま残されています. 

 

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城内部はミュージアムとなっており,町や城の歴史やクールランド公国のことが紹介されています.入館料は2.1ユーロでした.ventiを持っていない《わん》と《ころ》は割引になりません.
お金や昔の家具が置いてありました.解説が壁に映し出される部屋もありました. 

 

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映像を使ったユニークな展示が印象的です.

公式サイト:http://muzejs.ventspils.lv/en/the-castle-of-the-livonian-order/

 

【Pils Restorāns「Livonija」】
お城の一部(レンガ造りの壁)を生かしたレストランです.

 

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ガラスの向こうは博物館の展示室なので,時々人が通ります.

ウサギ料理とムール貝を注文しました. 

 

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ウサギ(Trusis)料理は8.95ユーロ.ソースがドット型に飾り付けられているおしゃれな一品です.バルサミコや洋ナシのソースでした.ウサギは歯ごたえがありますがしっとりとした肉質です.脂っぽくなくておいしかったです.

プロバンス風ムール貝(Mīdijas provencale)は14.95ユーロ.ムール貝は粒が大きめで,たっぷりと50個くらい入っていました.セロリやニンジンなど野菜もいっぱい入っていましたよぉ♪

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Narrow-gauge railway

 

ラトビアでMazbānītisと呼ばれる小さくてかわいい列車.幅60cmの,車輪ゲージの狭い列車の線路です.第一次世界大戦時にドイツ軍が敷いたものなのだとか. 

 

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5月から10月の(水曜日-日曜日),観光客を乗せてSeaside Open Air MuseumとSeaside ParkとAdventure Parkの周りを走っています.
路線図はこちら. 

 

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1.3㎞の「Riņķa līnija」(赤線の循環ライン)と3㎞の「Kalna līnija」があるようです.

写真を撮ったのは青線で示される路線の右下の部分.Kalna Lineの一部でAdventure Parkの目の前です.機関車を回転させるターンテーブルがありました. 

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

 


 

【ヴェンツピルスへのアクセス】
リーガとヴェンツピルスの間はA10(E22)道路で結ばれており,190㎞くらい離れています.車で行くと2時間20分くらいかかります.標識が出ているので,分かりやすかったです.
町中に入ってからはセンター(centrs)を目指します.ツーリストインフォメーションの前に駐車場がありました.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain ラトビア

 

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バルト三国の真ん中に位置する国で,エストニア,ロシア,ベラルーシ,リトアニアと国境を接しています.また西側はバルト海(リガ湾)に面しています.
1991年に旧ソ連から独立し,2004年にはエストニア,ラトビアとともにEU加盟しています.ラトビアは2014年にユーロを導入しました.
ハンザ同盟の都市として発展した地が多く,文化面ではドイツやポーランドの影響が大きいと言われています.公用語のラトビア語はバルト系言語で,リトアニア語と同じグループに属します.キリスト教徒の多くは福音ルーテル派でありエストニアと同じで,カトリックの多いリトアニアとは異なります.

 

国名 Republic of Latvia(ラトビア共和国)

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人口 215万人
面積 約6.5万平方キロメートル
言語 ラトビア語
通貨 ユーロ(2014年に導入)
時間 UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間)

 

【参考ホームページ・参照文献】

二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店. 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

ラトビア政府観光局公式ポータル:http://ww3.latvia.travel/ja

Visit Ventspils:http://www.visitventspils.com/en/start/

Ventspils:http://www.ventspils.lv/eng/