リトアニア 「琥珀ミュージアム」の思ひで…

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2015年8月】

 

博物館の時間です.
今日はリトアニアの「Vilnius(ヴィリニュス)」でお散歩です.

 

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バルト海沿岸で産出される琥珀がバルチックアンバー(Baltic amber)です.
針葉樹の樹脂からできているバルチックアンバーは他の地域で採れる琥珀と比べ硬いという特徴があります.
リトアニアでは琥珀のことをgintaras(ジンタラス)といいます.古代,リトアニアの人々は琥珀を装飾品やジュエリーだけではなく,薬としても活用していました.バルチックアンバーには,コハク酸(succinic acid)が含まれています.この物質が治療において重要で,ストレスを和らげる効果や解毒作用があると考えられていました.また,腸や腎臓にも良いと考えられていたようです. 

 

 f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 琥珀ミュージアム・ギャラリー

 

ヴィリニュスのŠv. Mykolo通りを歩いていると,窓辺に立派な琥珀の船が飾られているのを見つけました.

 

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ここは琥珀ミュージアムでした.ヴィリニュスには,ambergallery系列のミュージアムやアートセンターが3件あります.さっそく見てみましょう♪

ミュージアム内は写真撮影可でした.
階段を下りていくと,大小様々な琥珀が展示されていました.

 

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琥珀といっても様々な色,質感があるんだなぁ...と思いました.
琥珀の形成過程についてのパネル説明もあります.

 

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こちらはインクルージョン(虫などが含まれた琥珀)の形成過程を説明したものです.もちろん,実物の展示もあります.

 

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アクセサリーやインテリア雑貨に加工された美術品も展示されていました.

 

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このメガネはよく見えるのかなぁ!??


ミュージアムはショップでもあり,琥珀の置物やアクセサリーの販売もしていました.
規模は大きくありませんが,ちょっと見るのにちょうど良いと思います.ミュージアムの見学は無料でしたよ.

 

 f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain バルト海の琥珀

 

琥珀の産地として有名なバルト海沿岸.木の樹液が化石化してできる琥珀が,どうして海岸沿いで取れるのでしょうか!?

バルト海地域には5500万年ほど針葉樹の森があり,ブナやヤシといった木々が育っていたそうです.また,現存しない“amberrich pine”という木もありました.それらの木の松脂が地面に落ち林床に堆積,化石化し長い年月をかけて琥珀となりました.
琥珀は密度が軽いので,川の流れや洪水で海や湖へと流されます.その際,盆地であったバルト海へ流れ込んだそうです.
また,氷河期が終わったことで氷が溶け,森であった場所が海となったために琥珀が海底に沈んだとも言われています.

 

 f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Northern Gold

 

5000万年以上前に作り出された自然の宝石は,貴重で高価ものです.バルト海の琥珀は『northern gold』と呼ばれていた時代もありました.
その貴重な品は地中海地域などへの重要な輸出品だったのです.少なくとも紀元前16世紀には輸出されていたそうです.なんと,エジプトのツタンカーメンのチェストの飾りにバルチックアンバーが用いられているのだとか.さらに,ギリシャやローマにも渡っていたようです.

 

かつてはGOLDとも言われたほど貴重な琥珀ですが,現在は至るところで販売されています.観光客向けのお土産屋さんや野外マーケットでの販売,高級そうな琥珀専門店もあります.販売価格も様々です.小さなものであれば2-3ユーロで販売しています.
長い時間をかけて形成されるはずの天然琥珀ですが,こんなにジャラジャラと販売されているものなのでしょうか???

 

 f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 琥珀は本物!?

 

琥珀を人造する技術は19世紀には存在していたようです.偽造品であっても“natural amber ”として高価格で販売されていることもあるのだとか.

偽物が多く出回っており,さらに本物と見分けるのは難しいため,高価な品を買いたい時は信頼できるお店(店舗展開している琥珀専門ショップ)で買ったほうが良いと思います.それでも本当に『本物』かどうかは分かりませんが...専門店のものなら納得できます.「バルト三国に行ったんだ」というだけの思い出の品なら野外マーケットなどで購入しても良いかもしれません...
いずれにしろ,気に入ったデザイン,色,形に巡り逢えと良いですね”

 

【琥珀の見分け方】
GINTARO MUZIEJUS-GALERIJAのホームページではナチュラルアンバー(本物)かどうかの見分け方が紹介されていました.

Smell tests
ナチュラルアンバーには特有の匂いがあるそうです.
温まった時に僅かに“松やに”の香りがするそうですが,店で温めるわけにもいきませんし,“松やに”の香りもピンときません.甘い香りがするものはcopal(コーパル)という別の樹脂から作られたものなのだとか.コーパルは若い木の樹脂で,東アフリカやコロンビアで取れるもの.数千年前のものなので,こちらも“古い”ですが,バルチックアンバーではないということですね”

Rubbing tests
摩擦によって見分けることができるようです.
松脂の香りがするまで手のひらでこすり温めるというテストはとても良い方法なのだそうです...が,アクセサリーに加工されたものは,こするわけにはいきません”

Hot needle tests
目立たない場所に温めた針を刺してみる.
そうすると,やっぱり本物であれば松脂の香りが確認できるそうです.しかし,わずかな傷は残ってしまいます.

Salt-water test
100mlの水に15gの塩を溶かした塩水の中では浮くそうです.
しかしスチレン樹脂やコーパルも同様の性質で本物の琥珀と見分けがつかないため,やっぱり針によるテストも必要なのだとか...

その他にも赤外線分光学,紫外線テスト,アセトンテストなど科学的手法による鑑定が紹介されていました.

模造品や人造琥珀に用いられる素材(物質)はガラス,セルロイド,カゼイン,ポリエステルやスチレン樹脂,コーパルなど様々あり,光学的に琥珀と見分けのつきにくいものも存在しているようです.


どのテストも,購入前に行うのは難しいですし,素人では結果を判断できませんね.
やはりホームページでも「信頼できる店で購入するのが最も安全な方法である」と紹介されています.

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

 


 

【今回のお店】

AMBER MUSEUM-GALLERY

 Šv. Mykolo st 8, Vilnius

月曜日から日曜日の10:00-19:00営業しています. ヴィリニュスにはŠv. Mykolo st 12やAušros Vartų st 17にも同じ系列のギャラリーがあります.

公式URL

http://www.ambergallery.lt

 

【Vilniusへのアクセス】

(リトアニアでの運転)

速度制限は,街中:50km/h,郊外:90km/h,主要高速道路:110km/hです.ヘッドライトは常に点灯させる必要があります.高速道路は無料です.高速道路にはバス停が設けられていたり,Uターンレーンがあったり,側道を人が歩いていたりするので運転には注意しましょう.

(リトアニアの営業時間の表示)

リトアニアでは曜日にローマ数字を当てはめ営業時間を表示している店があります.Iが表すのは月曜日です.例えば「I-V, 8-22」と表示されていたら「月曜日から金曜日の8:00-22:00」という意味です.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain リトアニア

 

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バルト三国の1つでラトビア,ベラルーシ,ポーランド,ロシア(カリーニングラード)と国境を接しています.バルト海をはさんだ西側にはスウェーデンがあります. 1940年に旧ソ連邦に編入され,1990年ソ連からの独立宣言を議会で採択しました.2004年にはエストニア,ラトビアとともにEU加盟しています.リトアニアが2015年1月にユーロを導入したことで,バルト三国すべてでユーロが流通することとなりました. 公用語のリトアニア語はバルト系言語で,ラトビア語と同じグループに属します.宗教は主にカトリックで,文化面はポーランドの影響が大きいと言われています.

 

国名 Republic of Lithuania(リトアニア共和国)

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人口 291.6万人
面積 約6.5万平方キロメートル
言語 リトアニア語
通貨 ユーロ(2015年に導入)
時間 UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間)

 

【参考ホームページ・参照文献】

二宮書店編集部(2015)『データブック オブ・ザ・ワールド 2015年版』二宮書店.

R.パクニース出版社(2006)『ヴィリニュスとトラカイ』ガイドブック(9986-830-76-1).

 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
Vilnius Tourist Information:http://www.vilnius-tourism.lt/en/ 

GINTARO MUZIEJUS-GALERIJA:http://www.ambergallery.lt/ 

Lithuania Amber Road:http://www.worldamberroad.travel/en/