スウェーデン 「カールスクローナの海軍博物館」の思ひで…

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博物館の時間です.
今日はスウェーデンの「カールスクローナ:Karlskrona」でお散歩です.

 

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ストゥム島(Stumholmen)にある博物館,海軍博物館(Marinmuseum,英語名The Naval Museum)をお散歩します.ストゥム島は,カールスクローナの中心地(大広場)から歩いて10分もかからない距離にあります.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Marinmuseum(海軍博物館)

 

博物館の歴史は古く,前進とされるmodel chamberが建てられたのは1752年のことだそうです.そこにはいくつもの模型船が置かれていたり,技術的な試験が行われていたりしたそうです.現在の建物でミュージアムがオープンしたのは1997年のこと.毎年18万人もの人が訪れるのだとか.そのうち30%がスウェーデン以外からのお客さんだそうです.

 

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海軍博物館はスウェーデンの博物館団体によるMuseum of the Year 2015を受賞しています.
スウェーデン海軍の解説だけではなく展示物がたくさんあります.20ものエキシビション(テーマ別展示)には,スウェーデン海軍の500年の歴史,歴史的な船の内部を再現した展示,造船の歴史,第二次世界大戦で実際に使われた船,子供たちが実際に触って体験できるスペースなどがあります.

 

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簡単な館内マップです.メインの建物は2階建てで,1階のエントランス付近には潜水艦展示室(submarine hall)があります.マップの右上部分に位置しています.右下に写っている白枠で囲まれた図も建物.ボートが展示されています.黒い色で描かれている船の絵は,船の展示を表しています.
マップはシンプルに見えますが,見どころがたっくさんある海軍博物館です.

この海軍博物館,一番の驚きは無料ということ.物価の高いスウェーデンでは,博物館の入館料も高いなぁ...と感じることが多かったのですが,海軍博物館は無料で大助かりです! しかも展示物が豊富すぎです! ゆっくり見て回ると1日かかります.無料となったのは2016年2月からだそうです.入館料は無料ですが,受付でシールを受け取り服に貼り付けて見学します.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain メインの建物

 

船の模型や大砲の設計図,造船のための道具など,本当にたくさんの展示物があります.小さな模型だけではなく,大きな船のモデルもありました. 

 

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メインの建物は...長いです.ずっと奥まで,展示が続いています.

「Lowering the Dane!」という大砲を発射させ,船を沈没させるゲームもありました.画面上に出てくる船に向け,タイミングを合わせて大砲の発射ボタンを押すのですが

 

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《ころ》「...ぜんぜん当たらないなぁぁ.」


「The Gun Deck」という展示では,砲列甲板(大砲が並んだ甲板)が再現されています.

 

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クルーがどんなふうに動いていたのかを実物大に近いフィギュアで展示しています.

船の中での生活の様子が再現された「Life on Board」という展示もあります.こちらは実物大ではありませんが,人形を使って足を手術する場面が再現されていました.人形での再現だけではなく,手術の音がまでも演出されていました….どんな音なのかは聞いてのお楽しみです…

 

【The Figureheads】(Galjonshallen)
メインの建物の一番奥はガラス張りになっています.そこは船首像が展示されているホールです.

 

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海軍博物館にある古い船首像のコレクションは評価が高く,博物館紹介の写真にも船首像が掲載されていました.ここには18世紀から19世紀にかけての木製の彫像が多数展示されています.船の力を象徴するかのような船首の飾りは,想像していた以上に大きいです.ほとんどの船首は参戦した船に取り付けられていたものなのだとか.よーく見ると修理された弾痕が見つかるかもしれません...

 

船首像の展示されているホールからは2階へ上がることができます.長い長いメインの建物は2階建てなのです.

帆船から蒸気船になる技術進歩の過程や冷戦に関する展示や冷戦期における海軍の役割なども紹介されています.冷戦期にホットスポットと言われたバルト海.1981年にソ連の潜水艦(U137)が現れた事件についても語られていました.

 

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写真や映像も使われた展示でした.画面の前には椅子が置かれているので,じっくり見ることができます.


【The Underwater Tunnel】
あ.地下部分もある. 

 

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...水族館のような展示になっています.魚がたくさんいるわけではありませんが,窓からは濁った海底を眺めることができます.博物館は海のそばにあるので,本物の海底です.ダイバーになったような気分を味わえるのだとか.うん,そんな気もします.

沈没船探索の様子などがパネルで解説されています.スウェーデンのエーランド島沖で発見されたクロナン(スウェーデン 「カルマル郡博物館」の思ひで… )に関する説明もありました.地下の展示は“長く”ありませんでしたよ!

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 潜水艦展示(The Submarine Hall)

 

2014年には新たにsubmarine hallがオープンしました!! 潜水艦展示室はエントランスの近くにあります.

 

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展示館には2つの潜水艦が置かれています.HajenとNeptuneです.
赤い色の潜水艦Hajen(サメという意味)はスウェーデン海軍の最初の潜水艦で,ノルウェーとの戦争の危機が高まっているという背景で製造されました.1904年から使われ始めヨーテボリに配備されたこともあったそうです.Hajenは最大で30メートルの深さまで潜ることができる潜水艦なのだとか.水の下に入れるのは13分くらいで,最高速度は9ノット,魚雷は3つ...さらにヒーターやトイレといった設備のない潜水艦ですが,1900年代初めという時代を考えると先端技術のつまった兵器だったのです.


展示ホールの壁面には潜水艦の歴史に関するパネルが掲示されていました.高い位置に作られた通路から潜水艦を間近に眺めることができますが...中に入ることもできます.

 

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潜水艦を“内側”から見学でるのは,黒い潜水艦Neptuneの方です.Neptuneは近代的なソナーシステムやコンピューターが搭載されたトップクラスの潜水艦.1980‐90年代に対潜水艦戦や偵察といった任務で使用され,1998年に役目を終えました.2014年以降は海軍博物館で活躍しています.珍しい装置や内装を備えた潜水艦は人気の展示物です.

キャプテンシートに座ったり潜望鏡で外の様子を見たり,狭い出入り口をくぐったりと,大人でも潜水艦内を見学できます.

 

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限られた空間内に設置されたベッドやトイレ...任務に就いていた人たちの生活をちょっぴり感じることができました.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 実物の船(The Museum ships)

 

海軍博物館,メインの建物の隣にある桟橋には歴史的な船が停泊しています. 

 

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torpedo boat(魚雷艇),HMS Jarramas,水中の機雷を除去する掃海艇Bremön,ミサイル艦Västervik,高速魚雷艇T38とこちらも盛りだくさんの展示です.停泊している船は,外から見るだけではなくデッキに立ったり上ったり,内部に入ったりもできます.
これらの船に入れるのは夏期(7月1日から8月14日)の11:00-17:00だけのようです.


《ころ》「あれ!? あっちの建物にも入れるみたい.もう展示は十分に見たのに...」  《わん》「ちょっと疲れたよぉ」 《ころ》「ダメダメ.早くいくよ.」 えーと,普段とは逆ですが,今日は《ころ》が元気です.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Slup- och barkasskjulet(The Sloop and Longboat Shed)

 

メインの建物の隣にある建物は...海軍博物館のボートエキシビジョン.この建物も展示ルームになっているということです.この建物は「スウェーデン 「カールスクローナの博物館島」の思ひで… 」で紹介した“いくつもの切妻屋根が珍しいと言われている建物”です.

 

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The Sloop and Longboat Shedが開いているのは夏期(7月1日から8月14日)の11:00-17:00です.2016年にお散歩をしたときは8月下旬でしたが,開いていました.

広い広い建物内には船がぎっしり...

 

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どれも貴重な船なのでしょうが,もう疲れてしまいました.

海軍博物館にはメインの建物内にレストランがあります.疲れちゃったらそこで休憩しても良いかもしれません.が,お散歩をした日は(お昼頃だったからかもしれませんが)大行列でレストランに入るのも大変そうでした. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Statens maritima museer

 

Statens maritima museer(National Maritime Museums)はスウェーデンの海に関する文化,歴史を保存・伝承していくことを目的として作られた機関です.スウェーデン文化庁(Ministry of Culture)の指針に従うこの機関の下で3つのミュージアムが運営されています.カールスクローナのNaval MuseumとストックホルムにあるMaritime MuseumとVasa Museum(ヴァーサ号博物館)です.
《わん》「あ!! 全部行ったね~♪」

ストックホルムにあるミュージアムをお散歩したのは2012年のこと.
白い建物がMaritime Museumです.横に長~い建物でした.

 

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3つの博物館のうち,ヴァーサ号博物館のみが有料となっています(2016年現在,130SEK).ヴァーサ号博物館では,1628年に沈没して1959年に引き上げられた本物のヴァーサ号を見ることができます.

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

  


【今回の観光地】

Marinmuseum

Stumholmen, 371 21 Karlskrona

営業時間:
6月から8月は毎日10:00-18:00(メインの展示).
詳細はhttp://www.marinmuseum.se/en/visit-us/hoursでご確認ください.

公式URL:http://www.marinmuseum.se/

 

【海軍博物館へのアクセス】

カールスクローナの中心地にあるツーリストインフォメーションから歩く場合は,Kyrkogatanを東方向へ進んで下さい.まっすぐ進むと,島と島をつなぐ橋のあるBastionsgatanへと続いています. Stumholmenへの車の乗り入れは禁止されています.「Aspöへのフェリー前にある駐車場を利用」と書かれていますが,(Trossö)島と(Stumholmen)島をつなぐ橋の近くにも駐車場がありました.町中には『P Marinmuseum』という看板も出ていますが,ちょっと分かりにくかったです.

 

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『besökare till Marinmuseum』との表示があり,海軍博物館への訪問者は利用可能な駐車場です.機械でチケットを購入し,外から確認できる(フロントガラスのとことか)車内にチケットを置いておくタイプでした.

   

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パーキングチケットは,クレジットカードで購入します.機械に書かれている説明はスウェーデン語のみです.『クレジットカードを入れ,黄色いボタンを使っていくらお金を払うか決めて,緑のボタンで決定』という感じでした. 10Krというボタンを2回押すと20Kr払うことになります.少し多めに買っておくのが無難です.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain スウェーデン

 

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スカンジナビア半島の東側に位置するスウェーデン.北西部のノルウェーとの国境にはスカンジナビア山脈があります.国内には約9万もの湖沼が存在し,またストックホルム群島(Stockholms skärgård)には2万4千もの島々が点在するなど独特の地形を有しています.

国土は南北に細長く,国土の約14%は北極圏に位置し,夏至前後の1-2ヵ月は太陽が沈みません.北部の冬は7ヵ月にも及びます.一方,南部は北大西洋海流の影響を受けるため高緯度にもかかわらず比較的温和な気候です.人口の90%は南半分に居住しています.
1995年にEUへ加盟しましたが,通貨統合への参加は見合わせており,ユーロは導入していません.スウェーデンの中央銀行リクスバンク(Sveriges Riksbank)は,1668年に誕生した最古の中央銀行として知られています.

 

国名 Kingdom of Sweden(スウェーデン王国)

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人口 968万人
面積 約45万平方キロメートル
言語 スウェーデン語
通貨 スウェーデン・クローナ(SEK)
時間 UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間)

 

 

【参考ホームページ・参照文献】

二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店. 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

新世紀シリーズ「スウェーデン」(ISBN 88-476-1805-3),Casa Editrice Bonechi.

在日スウェーデン大使館公認 観光情報サイト:http://letsgo-sweden.com/

guidebook sweden:http://www.guidebook-sweden.com/en

visitsweden:http://www.visitsweden.com/sweden/

Visit Karlskrona - Official tourist guide:http://www.visitkarlskrona.se/en

The Naval City of Karlskrona:http://www.orlogsstadenkarlskrona.se/page/22/start.aspx