スロベニア 「シュコツィヤン鍾乳洞(Škocjanske jame)」の思ひで…

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2013年8月】

 

観光の時間です.
今日はスロベニアの「Škocjan(シュコツィヤン)」でお散歩です.

 

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「スロベニアの有名な鍾乳洞に行ってきてね」との《りん》からのメール(スロベニア 「ポストイナ鍾乳洞(Postojnska jama)」の思ひで…を参照してください).スロベニアには1万2000を超える鍾乳洞や洞窟があり,そのうち23ヵ所が観光用として整備されているそうです.,《わん》《ころ》は人気観光地ポストイナ鍾乳洞だけではなく,シュコツィヤン鍾乳洞にも行っておくことにしました.
シュコツィヤン鍾乳洞はUNESCO世界遺産に登録されています.こちらもスロベニアの有名な,そして人気の鍾乳洞です.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Park Škocjanske jame

 

シュコツィヤン(シュコツィアン)鍾乳洞は,首都リュブリャナから南西に82kmほど離れたカルスト地方にあります.スロベニアのカルスト台地はカルスト地形の語源にもなっています.カルストの研究は19世紀,この地で始まりました."karst"や"doline"といった学術用語はこの地に由来しているのです.ドリーネとはカルストの地形で,すり鉢状の窪地のことです.

 

鍾乳洞とその周辺はパークとして保護・整備されています.一番最初の写真はビジターセンター(Park’s Information Centre)の写真です.ここにチケットオフィスやカフェがあります.
パーク全体は413haもの面積があります.敷地全体が野外博物館のようになっており,観光コースが3つ設定されています.鍾乳洞観光以外にも自然豊かな森や川沿いの散策,昔の暮らしを伝える小さな博物館見学ができます.

 

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Park Škocjanske jame 創設のための準備は1990年代初頭に開始されました.パークの開発や保護のためのプログラムはスロベニアの議会で採択された法律に基づいているそうです.国際的なプロジェクトや研究活動も行われており,洞窟内の水質や環境だけではなく,地表面の動植物についての調査も続けられています.継続的なモニタリングをすることで環境負荷を軽減しているのです. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain シュコツィヤン鍾乳洞(Škocjanske jame)

 

Park Škocjanske jameのメインともいえるのがシュコツィヤン鍾乳洞.シュコツィヤン鍾乳洞がユネスコ世界遺産に登録されたのは1986年です.1999年には世界最大の地下湿地帯としてラムサール条約に登録されました.2004年にはユネスコのMAB programme(人間と生物圏計画)にも登録されています.

 

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看板の右の方にはユネスコ世界遺産のエンブレムやラムサール条約のマークがあります.


約3億年前に起源を持つシュコツィヤン鍾乳洞は,世界一大きな地下渓谷と言われています.枝分かれした洞窟内は長さ6.2km,最も深い地点は223mもあります.このような空間がレカ川(Reka River)の力によって作られたというのは驚きです.

 

鍾乳洞の見学コースは1と2の2種類あります.

「見学コース1」
ガイドツアーで鍾乳洞内を観光します.ガイドツアーは1時間45分程度.約3km歩きます.季節により1日のツアー回数が異なります.たくさんの人と一緒にぞろぞろと鍾乳洞内を巡ります.

 

「見学コース2」
自分で矢印に従いながら山道や鍾乳洞を歩きます.1.5kmくらいです.のんびり見ていると時間がかかります.距離は短く感じますが,山道を登ったり降りたりするので,ちょっと大変です.見学コース2は4月から10月の期間限定コースです.また,ガイドを頼むこともできるそうです.

 

《わん》と《ころ》は1と2のコンビチケットを買いました.少し割引になります♪
お散歩をしたときは20ユーロでしたが,2015年夏は21ユーロとちょっと値上げをしたようです.
シュコツィヤン鍾乳洞は撮影禁止です.夏には気温が30℃近くになりますが,洞窟内は12℃に保たれています.適切な服装で観光に行きましょう” ヒールやサンダルは絶対に後悔します!

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 「見学コース1」

 

コース1はガイドツアーのみで行われます.ツアー時間は指定されるので,その時間になったら集合場所に行きましょう.スタート地点はビジターセンターです.時間になったら皆で出発です.

 

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鍾乳洞までの道や鍾乳洞内の通路は基本的に舗装されていました.

 

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ここが鍾乳洞への入り口です.
解説は英語なので≪ころ≫はなんとなくしか聞いていませんでした.グループの人数も多いので,離れてしまうと聞こえなかったりします.解説をしっかり聞きたい人はガイドさんの近くにいたほうが良いと思います.


洞窟内には色々な形の鍾乳石があります.オルガンのような形をした鍾乳石もあったような気がします.Great Hallには最も大きな石筍があります.その大きさは15mです.

 

出口付近にある最後のお楽しみがツェルヴェニコヴィムの吊り橋(Cerkvenik Bridge)です.洞窟内で最も高い橋で,下を流れるレカ川から47mの高さにあります.ここは深さ50m近い地底の渓谷を眺めることができる,おススメポイントです.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 「見学コース2」

 

コース2はガイドさんなしで鍾乳洞内を見学できます.鍾乳洞だけではなくレカ川沿いの散策もできます.

 

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道順を示す矢印があるので,その通りに進みます.でも,たまに分かりにくい矢印もありました.
洞窟内には自然の光が差し込むスポットもあり,とても神秘的に見えます.天気や季節によっても見え方が変わってくるのでしょうね”

 

コースは基本的に整備された道です.

 

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木々の緑も美しく自然を感じることのできるコースです.鍾乳洞内へはレカ川によって削られた自然の入口から入ります.鍾乳洞内も道は整備されており,階段や柵が設置されていました.暗い所は足元を照らすライトもありました.

 

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コース2は,歩道が整備されている部分も多く歩きやすいですが,階段が多くて疲れました.森の中もたくさん歩きます.散策は森の中ですが,所々にゲートがあり係りの人がチケットを確認します.


ドリーネを見ることができるのもコース2です.Mala dolinaは120m,Velika dolinaは165mの深さがあります.ドリーネは陥没したすり鉢状の地形なのですが,規模が大きすぎて「これがドリーネかぁ」という実感がわきませんでした.でも,すごい景色の中にいたことは覚えています.

 

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こんな景色を見ながら歩きます.歩くことに一生懸命になっていると,せっかくの“自然”を見逃してしまいます.鍾乳洞(洞窟)内の探検は少しといった印象です.コース1とは違って,のんびり見学できるのも良いですね“

あぁ...今日もたくさん歩いて疲れた.

 

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戻るときはケーブルカーに乗れます.《ころ》はケーブルカーの中でぐったりで,ちょっと顔が変な形になっています.ちなみに,コース1の最後もこのケーブルカーに乗ってビジターセンターへ戻ります.係りの人に「また来たの~」といわれました.ビジターセンターに戻ったら,ちょっと休憩します.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain ちょっと休憩

 

歩き疲れた≪ころ≫の体力が戻るように,ビジターセンターにあるカフェで休憩しました.ケーキの時間です.

 

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甘いものも大好きな≪ころ≫はケーキを真剣に見つめています(左手前が≪ころ≫).写真を撮っていることに気が付いていないようです.

このケーキは「Gibanica」(ギバニツァ)です.3.5ユーロでした.リンゴやナッツ類が層になっています.白く見える部分はカッテージチーズだと思います.りんごの味以外よく分かりませんでした...疲れすぎていたのかな!?

《わん》「元気になった?」 《ころ》「わかんないけど,お腹はいっぱいになった」 《わん》「それじゃ,次のコースに行くよ!」 え~,まだあるの?

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain シュコツィヤン町のミュージアム

 

パンフレットや公式ホームページ「Tourist infomation」で紹介されているコース3です.
トレイルコースが設定されていますが...今回は山の上の方までは行かずミュージアムだけを見に行きました.コース3はガイドツアーを頼まなければ無料です.でも一応チケットがありますので忘れずに持っておきましょう.

Škocjan Museum exhibitionsはインフォメーションセンターから10分ほど歩いたところにあります.民家を改装した小さな博物館が3つあります.それらの建物では,カルスト現象や地域の動植物について学ぶことができます. 

 

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写真やパネルでの紹介に加え,鍾乳洞の模型も展示されていました.改装した納屋「J’kopinov skedenj」は民族博物館といった感じです.

 

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シンプルな山形の屋根はライ麦の藁でできています.室内には動物を使って耕作していたころに使われていた農機具や農作業風景の写真が展示されていました.この納屋は牧草地や畑の近くに建てられた“離れ”だったそうです.離れたところに建っていることで火災被害を免れることができます.

コース3はŠkocjanやMatavun,Betanjaの町を散策できます.

 

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この写真は,人が住んでいるお家です.花も綺麗に咲いていたので撮らせてもらいました.ミュージアムへの道は民家の並ぶ静かな通りでした.野菜に水をあげている人やテラスで休んでいるおじいちゃんも見かけました.

 

昔,ŠkocjanやMatavunの町に住む人が洞窟の道の建設や探求に参加したのだそうです.彼らは労働者であり,ガイドでもあったのだとか. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain ディヴァチャ(Divača)

 

シュコツィヤン鍾乳洞の最寄り駅はディヴァチャ(Divača)です.

 

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≪わん≫と≪ころ≫はディヴァチャ駅にも行ってみました.もちろん車で.
こちらは時刻表です. 

 

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首都リュブリャナ行は...2時間に1本なのかなぁ!? 電車で観光する際は,事前に時間を調べ計画を立てた方が良さそうです.リュブリャナまでは電車で1時間40分程度だそうです.高速バスもここに止まります.

 

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ホームへの入り口は手動の扉です.ホームには人がおらず...とても静かでした.今日は誰もいませんでしたが,以前(2007年)にここに来た時には,撮り鉄の人が2人いて,お互いに写真を見せあっていました.ホームと線路の間には何もないので,電車にひかれないように注意してくださいね.

ディヴァチャ駅とシュコツィヤン鍾乳洞は3kmほど離れており,徒歩だと40分程度かかるそうです.しかも,結構坂を上ります.無料シャトルバスも出ているようですが,便数が少なさそうです.
やっぱりレンタカーを借りての観光をオススメします.高速道路や一般道路には,観光地を示す茶色の看板が出ています.

 

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日本で国際免許証を取得してから出発しましょう”

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

 


 

 【今回の観光地】

Park Škocjanske jame(Škocjan Caves) 

Javni zavod Park Škocjanske jame, Slovenija
Škocjan 2
SI-6215 Divača

 

公式URL

http://www.park-skocjanske-jame.si/

 

【Škocjanske jameへのアクセス】

リュブリャナから自動車で約60分.約82㎞離れています. リュブリャナから車で行く場合は,高速道路A1(またはE70)でKoperを目指します.出口Divačaで降り,Škocjanを目指します.インフォメーションセンターがあるのはMatavunの町です.有名な観光地ですので一般道路にもちゃんと標識が出ていました.

 

電車や高速バスはDivača下車です.駅の裏には「4×4」の看板があり,そこでミニバスやレンタサイクルがありますが,休みの日も結構あるみたいです.レンタサイクルはかなりきつい上り坂があるので,ミニバスがおススメです.ちょっと離れたところにあるので,一番のおススメは,リュブリャナからの観光ツアーです.

 

なお,スロベニアの高速道路を走る場合はビグネット(またはVinjeta:ヴィニエッタ)が必要です.在スロベニア日本大使館によると,ビグネットの料金は1週間有効:15ユーロ,1ヶ月間有効:30ユーロ,1年間有効:110ユーロです.スロベニア国内や隣国との国境付近にあるガソリンスタンドでも購入できます.

スロベニアでの運転は,昼間でもライト点灯,全席シートベルト着用なのでレンタカーを運転する際は注意してください.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain スロベニア

 

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イタリアの東側に位置するスロベニアは,オーストリア,ハンガリー,クロアチア,イタリアと国境を接しており,アドリア海に面する海岸線も有しています.
1991年に旧ユーゴスラビアから独立し,2004年にEU加盟を果たしました.2007年からユーロが使えるようになりました.

 

国名 Republic of Slovenia(スロベニア共和国)

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人口 207.6万人(岐阜県と同じくらい)
面積 2万273平方キロメートル(岐阜県の2倍くらい)
言語 スロベニア語
通貨 ユーロ(2007年に導入)
時間 UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間)

 

【参考ホームページ・参照文献】

「ガイドスロベニア」(ISBN 978-961-6414-58-6)
二宮書店編集部(2015)「データブック オブ・ザ・ワールド 2015年版」二宮書店. 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
Eurostat:http://epp.eurostat.ec.europa.eu/portal/page/portal/eurostat/home/

I FEEL SLOVENIA:http://www.slovenia.info/

Divača:http://www.tic-divaca.si/en