スロベニア 「洞窟城(Predjamski grad)」の思ひで…

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2013年8月】

 

観光の時間です.
今日はスロベニアの「Predjama(プレッドヤマ)」でお散歩です.

 

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前回は「ポストイナ鍾乳洞」を見たので,次は洞窟城(プレッドヤマ城)です.《わん》の運転する車は913号線を10kmほど山を登って行きます.看板に沿って行けば簡単です♪

絵に描いたようなお城が目の前にあります.この景色はスロベニアを代表する絶景.崖をくり抜いて建てたような城は,驚くべき光景です.

 

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鍾乳洞とプレッドヤマ城の2つを合わせた地域が「Park Postojnska jama」という観光地となっており,両方を見るコンビチケットも販売されています.コンビチケットは割引になるのでちょっとお得です.
どちらの観光地にも駐車場が整備されているので,レンタカーを借りて観光するのが便利です.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain プレッドヤマ城(Predjamski grad)

 

日本語のガイドブックで紹介されているポストイナの洞窟城は,スロベニア語ではPredjamski gradといいます.この名前は "Castle in front of the cave"を意味しているのだそうです.あんなところにお城があるだなんて,本当にビックリの光景です.

 

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切り立った崖をくり抜くように建てられているお城はとても印象的で絵になる城です.もちろん,この景色は絵葉書にもなっています.絵の中にあるような城はパンフレットで「自然と人間のひらめきの調和」と紹介されています.
プレッドヤマ城は垂直な岩壁の123mの地点に居座っています.なんと700年以上の間ここに存在しているのだとか.この城についての記録が残っているのは1274年以降です.もともとはゴシックスタイルの建築物だったのですが,中世に建設され,16世紀頃にはこのような姿になったそうです.ルネサンス様式やロマネスク様式の部分も混在しています.

 

城内の見学はガイドツアーではないので,自由に見て回れます.跳ね橋を渡ってアーチをくぐり,エントランスへ行きましょう♪
プレッドヤマ城はグランドフロアも含め6階あります.実物サイズのマネキンを用いて16世紀の暮らしを紹介しており,この城の所有者についての説明もあります.

 

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家具や絵画が展示されている部屋や,生活を再現した部屋もあります.ちょっと怖いですが...拷問を再現した展示もありました.

 

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吊られているマネキンは,なぜか人気者です.

 

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きっと,ほとんどの観光客の写真に写っているのでしょう.負けずに写真を撮らなくちゃ.《わん》も頑張って撮ってきたのがさっきの写真です

 

城内のそれぞれの階はあまり広くありません.観光客が多いとすれ違うのに大変です.サロンや寝室,キッチンなども再現されています.キッチンといっても簡単な作りで,かまどとして使われていたところが残っているだけだった気がします.また,城所有者の肖像画や武器の展示もありました.

普通のお城と違うなぁと感じるのは,やっぱり自然の洞窟へつながっているところ.

 

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岩むき出しの壁や,洞窟へと続いていそうな道もありました.城の中にこんな空間があるなんて不思議です.
ただの住居ではないこの城には,屋根裏に作られた守衛スペースもあります.要塞としての役割を感じられる場所です.小窓からは外を覗くことができます.

 

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ここは,城を守るメインの場所だったそうです.ここから岩を落としたり熱湯や熱い油を流したりしたのだとか.
城内にはショップもありましたよ♪

 

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「ショップは,どこだったかなぁ...出口の近くだったかな??」 中が複雑なので,今どこにいるのか...ちょっと迷ってしまいます.

プレッドヤマ城の敷地内にはカフェとお土産屋さんもありました.

 

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お土産屋さんは“開く”と書いてあります.


【Erazem Jamski】
この城の住人として最も有名なのがknight Erazem of Predjama(エラゼム・プレッドヤムスキ)です.15世紀頃の城の所有者です.彼は高貴な騎士である一方で盗賊団の一員でもあり,数多くの伝説が語り継がれています.
盗賊といっても狙っていたのは金持ちなど.自らの欲のために盗みをしたのではなく,貧しい人に分け与えるためだったのだとか.

オーストリア皇帝軍がプレッドヤマ城を包囲した際,エラゼムは約1年間,皇帝の軍隊に抵抗しました.
この城にはひとつしかアクセスできる道がないにもかかわらず,エラゼムは食べ物や飲み物を手に入れていたのです.さらに城を取り囲む敵兵に焼いた肉や新鮮なフルーツを送っていたそうです.包囲されている城なのに,豊富な食料があるのは何故なのか...洞窟内に楽園を持っていると信じられていたこともあったそうです.
でも,洞窟内にあったのは“楽園”ではなく“秘密の通路”だったようです.エラゼムだけが知るトンネルは城の裏にある鍾乳洞を利用して,となりの谷へ出ることができたのです.

難攻不落の要塞ですが,エラゼムは召使の裏切りによって命を落とします.
1484年に金をもらったエラゼムの召使は敵に合図を送り,砲弾が発射されました.エラゼムが居たのは城の端っこ,the Sultan(オスマン・トルコ皇帝)でさえ1人で行く場所,“トイレ”だったのです.彼は崩れてきた壁に押しつぶされ亡くなったそうです.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain カフェでの休憩

 

プレッドヤマ城の地下洞窟はガイドツアーで見学します.見学までにまだ時間があったので,プレッドヤマ城の敷地内にあるカフェで休憩することにしました. 

 

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メニューや壁掛時計にもプレッドヤマ城がデザインされています.時計は手作りかなぁ!?
お腹がすいていた《ころ》が注文したのはパスタです.小さな店だったのでそれほど期待はしていなかったのですが...デザート付きで来ました♪

 

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スイカが添えられたパスタです.なぜか小さなスイカがパスタと同じ皿に乗せられています.
あんまり嬉しくないおまけでした. 《ころ》はちょっぴりがっかりです.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 洞窟城の地下洞窟(Jama pod Predjamskim gradom)

 

城の下に広がる洞窟は全長13km.スロベニアで2番目の大きさです.
5月1日から9月30日までは,プレッドヤマ城の地下洞窟の見学もできます.見学はガイドツアーで行われます.もちろん13kmも歩くわけではありません!! ガイドツアーは30分程度でした.

 

おさんぽわんこ達はポストイナ鍾乳洞でコンビチケットを購入していました.プレッドヤマ城でもチケットを買えますので,忘れてても大丈夫です.

 

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チケットに記載されている時間に近づくと,だんだんと人が集まってきました.集合場所はお城の入り口付近です.
時間になるとヘルメットが配られます.「あ!! プロテウスが描かれてる」プロテウスが書かれたヘルメットをかぶって出発です♪

 

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地下洞窟に向けて,ちょっと歩きます.洞窟の入口へ向けて,ずんずんと下ってゆきます.

洞窟内の写真撮影は基本的に禁止のようです.が,ガイドさんによって厳しい人とそうでもない人がいます.洞窟内は暗くヘルメットについているライトを点けて進みました.

 

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この地下洞窟ツアーはポストイナ鍾乳洞のツアーよりもちょっと大変です.暗い中ではしごを登るなど,足元が悪い場所もいくつかありました.アドベンチャーツアーではないので,基本的に誰でも参加できますが歩くことに自信のない人にはお勧めできません.

暗いこの世界ですが城の地下洞窟には住人がいるのです.それはこの環境を好む生物,コウモリです.
「あ!! コウモリだ.」
ガイドさんが「あそこにコウモリがとまっています」と教えてくれました♪ ちなみに,コウモリはイタリア語でピッコリです.たぶん.ガイドさんがイタリア人の子供に「ピッコリだよ」と言っていましたので.

コウモリにも会えたし,転ばなかったし,今日も楽しいお散歩でした.《わん》は車を走らせて来てよかったね話しかけようとしたら,《ころ》はパスタのスイカが残念だったと《りん》にメールしているところでした.それじゃぁ《りん》は何のことかわからないだろうなぁ,と思いながら《わん》は地図でリュブリャナまでの帰りの道を確認しました.

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

 


 

 【今回の観光地】

Predjamski grad(Predjama Castle) 

Predjama 1 6230 Postojna


洞窟城はポストイナ鍾乳洞からから車で15分くらいです.913号線を進みます.途中で曲がるところがありますが,道路には看板が出ていますよ♪ 

URL

http://www.postojnska-jama.eu/en/packages/predjama-castle-and-the-cave-under-predjama-castle-

 

【ポストイナの町へのアクセス】

リュブリャナから自動車で約50分. 高速道路A1(またはE70)を南西方向へ.出口Postojnaで降ります.有名な観光地ですので高速道路や一般道路にちゃんと標識が出ています.

 

なお,スロベニアの高速道路を走る場合はビグネット(またはVinjeta:ヴィニエッタ)が必要です.在スロベニア日本大使館によると,ビグネットの料金は1週間有効:15ユーロ,1ヶ月間有効:30ユーロ,1年間有効:110ユーロです.スロベニア国内や隣国との国境付近にあるガソリンスタンドでも購入できます.

スロベニアでの運転は,昼間でもライト点灯,全席シートベルト着用なのでレンタカーを運転する際は注意してください.

 

ポストイナへはバスや電車を利用するとリュブリャナから1時間程度です.しかし,ポストイナの町にあるバスターミナルや駅が「ポストイナ鍾乳洞」と離れていたり,土日は減便されたりします.バスや電車の情報はポストイナ鍾乳洞の公式ホームページ「Getting to Postojna」から確認できるようです.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain スロベニア

 

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イタリアの東側に位置するスロベニアは,オーストリア,ハンガリー,クロアチア,イタリアと国境を接しており,アドリア海に面する海岸線も有しています.
1991年に旧ユーゴスラビアから独立し,2004年にEU加盟を果たしました.2007年からユーロが使えるようになりました.

 

国名 Republic of Slovenia(スロベニア共和国)

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人口 207.6万人(岐阜県と同じくらい)
面積 2万273平方キロメートル(岐阜県の2倍くらい)
言語 スロベニア語
通貨 ユーロ(2007年に導入)
時間 UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間)

 

【参考ホームページ・参照文献】

「ガイドスロベニア」(ISBN 978-961-6414-58-6)
「ポストイナ鍾乳洞ガイドブック」(ISBN 978-961-6466-36-3)
二宮書店編集部(2015)「データブック オブ・ザ・ワールド 2015年版」二宮書店. 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
Eurostat:http://epp.eurostat.ec.europa.eu/portal/page/portal/eurostat/home/

I FEEL SLOVENIA:http://www.slovenia.info/

Culture.si:http://www.culture.si/en/Culture_of_Slovenia