【訪問日:2015年8月】
観光の時間です.
今日はリトアニアの「Vilnius(ヴィリニュス)」近郊でお散歩です.
《りん》からのメールは「ヴィリニュスの近くにヨーロッパの地理的中心地があるんだって.野外美術館の「ヨーロッパパーク」とは違う場所みたいだよ.本当の中心地を探してきてね”」でした.
《わん》と.《ころ》はヨーロッパセンターへ向けて車を走らせます.
ヨーロッパの中心を目指して...
ヴィリニュスから北の方角へ,A14という道を進みます.
リトアニアの道路標識には『道路番号が点線で囲まれている』ものもあります.写真を見てください.よく見ると,A14も102も点線で囲ってあるのが分かります.これは指し示す方向へ行くと「A14に行き着く」を意味しています.従って,斜め左に行ったからといってすぐにA14に入るわけではありません!! この表示に慣れるまではちょっと大変でした.
ヴィリニュス市内から10分ほど車を走らせたあたりで,こんな看板が出てきました.
茶色い看板は観光地を示しています.
《ころ》は「あ!! あの看板!」と言いましたが,《わん》は惑わされませんでした.
『Europos Parkas』にはヨーロッパの中心はないのです.ヨーロッパパークは,ヨーロッパの中心がヴィリニュス近郊にあると断定されたことに触発された芸術家が「ヨーロッパの中心に自然と芸術が調和した地を...」と設けた野外美術館です.つまり,野外美術館なのです.
ヨーロッパパークには34ヵ国から集まったアーティストの作品が100以上展示されています.しかも55haという広大な敷地の中にです.森林散策をしながら,景色や土地と融合した作品を楽しむのも良いかもしれません.作品の中には'Centre of Europe' というものもあるようです...間違えないようにしましょう”
ところで,先ほどの看板のA14は点線で囲まれていませんでしたよね”まっすぐ進めばA14ということを示しています.
ヴィリニュスの街を出てから約13分.突然この看板が.
「Europos Geografinis Centras」左折とのことです.さりげない看板なので見逃してしまうところでした.無事に到着したようです.
The Geographical Centre of Europe
どの範囲をヨーロッパとするかによって地理的中心地は変わります.ヨーロッパの中心であると主張する場所はいくつか存在しますが,その中のひとつがリトアニアの首都,ヴィリニュス近郊にあります.
ヨーロッパの地理的中心地はリトアニアにあると断定したのは,フランス国立地理院(french national geographic institute)です.
「やったぁ”迷うことなく,ちゃんと着いたね♪」
《わん》と《ころ》は喜びましたが,ほかの観光客は見当たりません.観光客どころか,他に人はいません.午前中だからでしょうか...
とりあえず,『i』のマークの方へ行ってみることにしました.そうそう,ここはゴルフコースでもあるようです.
木製の橋を渡ると...「あ! 何かある.」
近づいてみると,おにぎり型の大きな石が置かれていました.
石には「the geographical centre of Europe 」と書かれています.
1989年,フランス地理院の調査団はリトアニアの首都ヴィリニュスの26km北側(Purnuškės村の近く)に地理的中心地があると報告しました.
ヨーロッパの境界とされたそれぞれの地は以下のとおりです.
北はSpitsbergen(スピッツベルゲン島:ノルウェー領),南はCanary Islands(カナリア諸島:スペイン領),西はAzores(アゾレス諸島:ポルトガル領),東はcrest of the Urals(ウラル山脈の山頂)です.
しかし,その時はマルタが計算に入れられていませんでした.マルタとはイタリアとアフリカ大陸の間,地中海の真ん中にある小さな島国です.EUへは2004年に加盟しました.正確な計算を行ってもヨーロッパの地理的中心地がリトアニアにあるということに変わりはありませんが,マルタを含めると100mだけヨーロッパの地理的中心地がズレるのだそうです.
「あれ!? あっちにも何かある!」と《わん》.
こっちのはとても立派なモニュメントです.
「こっちが地理的中心なのかなぁ!? よく分からないから,こっちでも写真を撮っておこう」
《わん》と《ころ》は真ん中っぽいところにたって撮影しました.
白い花崗岩でできた柱状のこの作品が建てられたのは2004年.リトアニアがEU加盟国となった年のことです.彫刻家である(Gediminas Jokūbonis)の作品でリトアニアのヨーロッパ諸国への復帰が(再び)承認されたことを記念した作品のようです.
柱の下にある石には,リトアニア語で「2004年欧州連合(EU)にリトアニアの加盟を記念して建てられました」というような内容のコメントが添えられていました.
これはリトアニアのEU加盟記念のモニュメントなのでしょうか...?
てっぺんが星の王冠で飾られている柱のモニュメントは立派だし,柱の前には東西南北を指し示した地面となっています.
本当はこっちが中心地なんじゃないのかな...と思ってしまいます.100mのズレが生じたというマルタの件を踏まえて設置されたものなのでしょうか!?
でも,間違っている場所に石のモニュメントを置き続けるわけないですよね...普通は.だから,たぶん,寂しい感じの石のモニュメントがヨーロッパの地理的中心地で,派手に目立つ柱のモニュメントはリトアニアのEU加盟を記念した作品なんだと思います.
インフォメーション
モニュメントの近くには木の家が建っています.これがヨーロッパセンターのインフォメーションです.
4月から10月の平日は,11時から開いています.
ポストカードとか,記念になるようなお土産,お菓子があったりしたらいいなぁ” と思っていたのですが,そんなに気の利いたものは置いていませんでした.
ヴィリニュス市内の観光情報は少しありましたが,この地がヨーロッパの地理的中心というのを示す資料などは特にありませんでした.フランス語のそれっぽいのが一枚貼ってあった気もしますが...地理的中心地を記念したお土産などはありません.残念です.
《ころ》は「地理的中心地に行ってみたけれど,なんだかよく分からなかったよぉ.」と《りん》に報告しました.すると「なんで,係りの人に話しかけなかったの!??」と怒られてしまいました.インターネットで調べていた《りん》は「2015年夏から,ヨーロッパの地理的中心地を訪れたという証明書を発行します」という情報を見つけていたのです.でも,「証明書発行できます!」みたいな掲示はなかったよぉ…
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
【今回の観光地】
The Geographical Centre of Europe
Purnuškės, Vilniaus apskritis, Lietuva
(54°54’N, 25°19’E.)
インフォメーション開館時間(4月から10月)
火-金:11:00-18:00
土:10:00-17:00
日:11:00-16:00
参考URL
【The Geographical Centre of Europeへのアクセス】
ヴィリニュス市内からUTENA方面へ「A14」を進む(北の方角).ヴィリニュス市内からは自動車で25分程度で着きます.地理的中心地までの道のりは,まっすぐの道ですが,ガタガタしている部分もありました.看板がとぉっても小さいので注意してください.
(リトアニアでの運転)
速度制限は,街中:50km/h,郊外:90km/h,主要高速道路:110km/hです.ヘッドライトは常に点灯させる必要があります.高速道路は無料です.高速道路にはバス停が設けられていたり,Uターンレーンがあったり,側道を人が歩いていたりするので運転には注意しましょう.
リトアニア
バルト三国の1つでラトビア,ベラルーシ,ポーランド,ロシア(カリーニングラード)と国境を接しています.バルト海をはさんだ西側にはスウェーデンがあります. 1940年に旧ソ連邦に編入され,1990年ソ連からの独立宣言を議会で採択しました.2004年にはエストニア,ラトビアとともにEU加盟しています.リトアニアが2015年1月にユーロを導入したことで,バルト三国すべてでユーロが流通することとなりました. 公用語のリトアニア語はバルト系言語で,ラトビア語と同じグループに属します.宗教は主にカトリックで,文化面はポーランドの影響が大きいと言われています.
国名 | Republic of Lithuania(リトアニア共和国) | |
人口 | 291.6万人 | |
面積 | 約6.5万平方キロメートル | |
言語 | リトアニア語 | |
通貨 | ユーロ(2015年に導入) | |
時間 | UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間) |
二宮書店編集部(2015)『データブック オブ・ザ・ワールド 2015年版』二宮書店.
R.パクニース出版社(2006)『ヴィリニュスとトラカイ』ガイドブック(9986-830-76-1).
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
Vilnius Tourist Information:http://www.vilnius-tourism.lt/en/