【訪問日:2015年9月】
観光の時間です.
今日はエストニアの「ナルヴァ(Narva)」でお散歩です.
エストニア北東部にあるイダ・ヴィル(Ida-Viru)県で最大の都市がナルヴァです.エストニアで3番目に大きな町です.
ナルヴァはEUへの玄関口でもあります.
エストニアの最も東にあるナルヴァにはロシアとの国境があります.
ロシア語系住民が95%を占める街と紹介されていました.広告や看板の表示もエストニア語/ロシア語の2段になっていましたよ.町中を車で走っていると「BORDER」との表示も見かけました.ロシアはシェンゲン協定が適用される国ではないので国境管理が実施されており,入国・出国のための検査が行われます.
ロシアとの国境は町を流れるナルヴァ川に引かれています.
スカンジナビアから黒海へと続くナルヴァ川の水路は,交易の町としての繁栄をもたらしました.ナルヴァは13世紀になるとハンザ都市のひとつとして栄え,ナルヴァ川河口に商業地ができ,ドイツ人商人がロシアとの交易を行ったそうです.当時は,タリンをしのぐほどの勢いがあったと言われています.
ナルヴァという町は1700年から1721年にかけてのナルヴァの戦い(ロシア軍とスウェーデン軍の間の戦争)や1944年のナルヴァの戦い(ドイツ国防軍とソビエト赤軍の間の戦争)でも有名です.
ナルヴァは要塞の町,また貿易の町として歴史的に重要な役割を果たしてきました.
Narva Visitor Centre
ツーリストインフォメーションの入る建物の前は駐車場になっていました.
住所:Peetri plats 3, Narva
営業時間:
毎日10:00-16:00(夏は17:30まで開いていることがあります)
インフォメーションのおばちゃんは丁寧に観光コースを教えてくれましたよ♪
Narva Hermann Castle(ナルヴァ城)
13世紀デンマーク支配時代に最初の要塞が建てられて以来,ロシアとの国境を守る砦として重要な位置を占めてきました.
住所:Peterburi maantee 2, Narva
営業時間:毎日10:00-18:00
入場料:
5月下旬から8月下旬はNorthern Yardも見学できるため,料金は6ユーロです.それ以外の入場料金はThe Narva Castleのみの場合3ユーロです.
the Art Galleryとのコンビチケットもあり,別々に購入するよりも少し割引されます.
公式URL:http://narvamuuseum.ee/eng/main-page/
もともとは1256年にデンマーク王の住居として建設されたものでした.デンマークだけではなくエストニアを支配下に置いたドイツ騎士団やスウェーデンにとってもロシアとの国境に要塞を設けることは重要でした.
ナルヴァはデンマーク,ドイツ,スウェーデン,ロシアの支配下に置かれてきました.そのような歴史の中で700年以上にわたり要塞として重要な役割を果たしてきたのです.現在の城の姿は14世紀から16世紀のものですが,第二次世界大戦で破壊されたため1970,80年代に修復されています.
城内部はミュージアムになっており,城や町の歴史が展示されています(Narva Muuseum:http://narvamuuseum.ee/eng/main-page/).
2015年9月上旬にお散歩した時の城の入場料は3ユーロでした.
展示物を見ながら,どんどん階段を上り...(たぶん)9階部分にあるテラスを目指します.
【Hermann Tower 】
高さ約51m.ナルヴァ城の塔はテラスとなっており対岸のロシアを展望できます.
《ころ》「やっとロシアを見ることができたね.」(エストニア 「バルト三国で一番高いところ」の思ひで…参照)
ロシアとの国境になっているナルヴァ川を挟んで,エストニア側にはナルヴァ城が,ロシア側にはイワンゴロド城(Ivangorod fortress)があります.ロシア側に城ができたのは15世紀に入ってからのことだそうです.
ナルヴァの町の方の景色も見えます.
写真の手前部分は全てナルヴァ城の敷地です.
城のタワーは結構階段を上ります.100段以上あったと思います.
Narva Bastions
城の周りにはナルヴァ城の稜堡が残っています.町やナルヴァ川沿いを歩きながら城壁を見ることができます.
17世紀ごろスウェーデンが造った稜堡があり,それらは第二次世界大戦中に爆弾攻撃から身を守る施設として使われていたそうです.
ナルヴァ川沿いに来ました.
ナルヴァ城とイワンゴロド城
エストニアとロシアです.
エストニアが最初に独立した1919年から1940年の間,イワンゴロド城はナルヴァに属していたそうです.しかしソ連に併合され再び独立を果たした1991年に批准された国境線は現在の位置,つまりナルヴァ川の真ん中引かれることとなりました.
ロシアへとつながる橋は渋滞しています.なかなか進まないようで,車から降りている人もたくさんいました.
RIVERSIDE PROMENAADE
綺麗に整備された川沿いはお散歩にちょうど良いです.ナルヴァ川沿いに約1㎞にわたって遊歩道が整備されています.
夏にはコンサートやサーカス,アート展示といったイベントが行われたりするようです.
The Swedish Terraceという場所にはライオンのオブジェがあります.
ライオンだらけです...
川沿いをお散歩していたら見つけました.
チェスボードです.
ソビエト連邦のチェス選手権で何度も優勝したチェスプレイヤーPaul Keres(パウリ・ケレス)はナルヴァ生まれです.町の中心(城よりも西側)にはパウリ・ケレスのモニュメントがあるそうです(住所はAleksander Puškini tänav, Narva).
市庁舎
17世紀に建てられたバロック様式の建物です.Raekoja plats 1, Narvaにあります.
第二次世界大戦でナルヴァの町は全壊したため戦前から残っている建物はまれで,市庁舎くらいなのだとか.今あるナルヴァの町の姿は,戦後に工業都市として復興した1950年から1970年ごろに形成されたものだそうです.
【Narva College】
市庁舎の前に広がるのが市庁舎広場.その広場に面してナルヴァ大学の建物があります(Raekoja plats 2, Narva).ナルヴァ大学(Narva College of the University of Tartu)はタルトゥ大学(タルトゥ大学の思い出参照)の地域学部です.1999年に創設されました.
この場所には昔,証券取引所があったそうです.地下には証券取引所の壁や基礎部分が残っているのだとか.奇妙な形をした屋根は戦争で破壊されてしまった証券取引所の建物を記念しているそうです.また,市庁舎の姿を邪魔しないようなデザインにもなっているのだとか.斬新なデザインの建物ですが,窓枠のデザインを市庁舎と同じようにするなど調和のとれたものとなっています.
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
(エストニアでの運転)
速度制限 市街地:50km/h,郊外:90km/h(夏期は110km/hとなる場所もあります)です.ヘッドライトは常に点灯させる必要があります.高速道路は無料です.タリンからナルヴァまでの間の道路にはカメラがたくさんあります.スピードには気を付けましょう!
エストニア
バルト三国の最も北に位置する国で,ラトビア,ロシアとは陸続きで国境を接しています.バルト海を挟んで北側にはフィンランドがあり,ヘルシンキとタリンの間ではフェリーも運行されています.言語や文化はフィンランドなどの北欧とよく似ていると言われており,バルト三国でエストニアだけが異なる言語グループに属しています.
2011年にバルト三国で最初にユーロを導入しました.EUへは2004年に加盟しています.
IT立国化が推進されているエストニアでは国政選挙もネット上で行うことができ,ITを通じた効率化が進められています.マイナンバーのICカードも普及しており,行政や納税の時だけでなく銀行のオンラインログインなどにも利用されています.インターネット電話サービスのSkype(スカイプ)がエストニアで開発されたことも有名です.ITイノベーション産業の誘致・育成が積極的に行われており,日本との間ではIT・サイバー分野での協力が行われています.
国名 | Republic of Estonia(エストニア共和国) | |
人口 | 131万人 | |
面積 | 約4.5万平方キロメートル | |
言語 | エストニア語 | |
通貨 | ユーロ(2011年に導入) | |
時間 | UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間) |
二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店.
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
エストニア エストニアの古き町並みと田園,ISBN 978-9985-9969-04.
Visit Estonia:http://www.visitestonia.com/en/
Narva tourism:http://tourism.narva.ee/en