【訪問日:2015年9月】
観光の時間です.
今日はエストニアの「タリン(Tallinn)」でお散歩です.
1154年の記録が残るタリンは北欧で最も古い首都と言われています.
中世の面影を残す美しい都市タリン.タリン歴史地区(旧市街)は1997年より世界遺産に登録されています.中世の建築物が多く現存しており,保存状態も良いと評価されています.タリン旧市街はトーンペア地区(Toompea,高台地区)と下町(All-linn)に分けられます.
タリンの城壁
13世紀にはすでに防御壁が造られていましたが,本格的な防衛設備は1310年ころから作られ始めました.
町の発展に伴い城壁は強化され16世紀半ばには北欧でも強力な要塞都市となっていました.その頃の城壁の長さは2.35㎞厚さは3m,高さは16mもあったそうです.城には35の防衛塔が備えられていました(46との情報もあります).城門を兼ねた塔は8つ.そのうちの2つの塔はトーンペア地区(Toompea)と下町(All-linn)との間にある内門でした.
現存する城壁の長さは約2㎞,25の塔とともにタリン旧市街に残っています(現存するのは19の塔との情報もあります).
タリンの町を守った城壁は,お散歩できます.
Hellemann Tower and Town Wall
タリン旧市街の東側に位置する城壁です.
住所:Müürivahe 48, Tallinn
入場料は4ユーロでしたが,タリンカードで無料になります.
こんな風に,ムーリヴァヘ(Müürivahe)通りにある城壁に沿って歩くことができます.200mほどあるそうです.
町の景色を眺めることもできます.タリン旧市街にある高い建物,Tallinn Town HallやOrthodox Church of St. Nicholas,St. Olav’s Church and Tower,トーンペアにあるSt. Alexander Nevsky Cathedralの先っぽを見ることができます.城壁は教会などの塔のように高くはないので88段くらいと少なめですが,1段ずつが大きくて大変でした.ひざ下くらいまである段もありました.
木の部分…歩くのドキドキしました.下が見える部分もあって怖かったです.
Tallinn Town Wall
タリン旧市街の北西に位置するNunna塔-Sauna塔-Kuldjala塔をつなぐ城壁の部分です.
住所:Väike-Kloostri 9, Tallinn
入場料は1.5ユーロでしたが,タリンカードで無料になります(2016年夏は2ユーロとなっています).
らせん階段を上ります.
途中までは上りやすかったけれど,真っ暗で,1段が大きくなったりする所もありました.全部で83段くらい.
防衛塔の中です.外から見ていると立派に見える塔ですが...今回,登った防衛塔はハトの住処になっている雰囲気がありました.眺めはそれほど良くありません.
城壁を歩いて,もう一つの塔へ移動します.
また階段を上り...
もうひとつの防衛塔へ上ります.
城壁を歩けるのは面白い体験ですが,城壁の塔からの眺めはそんなに良くないことが分かりました.
Epping Tower
Tallinn Town Wallよりも北側に位置しています.
住所:Laboratooriumi 31, Tallinn
入場料は4ユーロでしたが,タリンカードで無料になります(2016年夏は5ユーロになっているようです).防衛塔の中には中世の頃の武器が展示されています.鎖かたびらの作り方を説明したパネルもありました.
武器はレプリカですが,触ってみても良いそうです.また騎士の服を着てみることもでき,子供向けにオススメの観光スポットとなっています.
防衛塔から見える景色はこんな感じです.
97段くらいで,わりと上りやすい階段でした.
見晴らしは良くないですが,タリンカードを持っていて,時間が余ってしまったらくれば来てもいいかなぁ...という場所でした.
Great Coastal Gate and Fat Margaret Tower
主要な門の前に築かれた前門.
16世紀後半に再建され,片方には細い門塔が,そしてもう片方には「太っちょマルガレータ」として知られる直径25mの砲塔が建てられました.頑丈な塔の厚さは最大5mもあるそうです.軍事的重要性がなくなった後,塔は監獄に改装され20世紀初頭まで多くの囚人が収容されていたそうです.
現在は海洋博物館となっています.
住所:Pikk 70, Tallinn
入館料は5ユーロですが,タリンカードで無料になります.4つのフロアがある博物館で,じっくり見学すると時間がかかります.
船の模型や漁の道具,潜水服など海に関する様々な資料が展示されています.舟のロープの結び方に関する展示もありました.
太っちょマルガレータも屋上まで登ることができます...
展望デッキからの眺めです.
海側にある太っちょマルガレータからは港も見えます.
...あれはクルーズ船かな⁉
《ころ》「目が付いているなんて,マルタの伝統漁船ルッツ(Luzzu)みたいだね」
展望デッキに登れるのは5月から9月の間だけです.
Patkuli viewing platform
トーンペア(Toompea)の北側にあるビューポイントです.旧市街の西南に位置するトーンペア地区は高さ20~30mの石灰岩の崖の上にあります.
住所:Rahukohtu 3, Tallinn
ビューポイントへの階段は1903年に作られました.
階段は157段くらいあり結構大変ですが,観光客だけではなく地元の人らしき人もどんどん登っていきます.
オレンジ色の屋根の城壁の塔や教会の尖塔が見えています.一番高い尖塔は聖オレフ教会です.
このビューポイントからは下町とその向こうに広がる港が良く見えます.
Kohtuotsa viewing platform
トーンペア(Toompea)の東側(住所:Kohtu 12, Tallinn)にあるビューポイントです.
《わん》「撮るよぉ~」
ここから見る夜景も綺麗なようです.
St.Olav's Church and Tower
1267年の歴史的記録が残る聖オレフ教会.尖塔が完成した16世紀ころは世界で最も高い建物だったそうです.その高さは159m.海上からも見えた聖オレフ教会の尖塔は,交易都市タリンの目印でした.
住所:Lai 50, Tallinn
入場料は2ユーロですが,タリンカードで無料になります.現在の塔の高さは123.7mですが,展望フロアがあるのは60m地点です.
60mくらいなら♪ と思っていたら大変です.階段数は258段.
らせん階段+(梯子のように)角度のきつい階段です.展望デッキまでの道は一方通行ですが,小さな子供がいると大渋滞が起こります.狭いのですれ違うのが大変というかほとんどできません.すれ違うには休憩スペースで...でも一ヵ所しかありません.
こちらが258段上った後の眺めです.
良い眺めというよりも,足元が怖くてのんびり過ごす気にはなれません.展望スペースは屋根の‟へり”を歩く感じ...他の塔とはまた違った怖さがあります.
たくさん登って疲れたので,教会内で休憩させてもらいました.
聖オレフ教会が現在の姿となったのは15世紀ごろのこと.しかし高い塔を持つ聖オレフ教会には雷が良く落ち1651年と1820年には大規模な火災に遭っています.内装もほとんど焼け落ちてしまったそうです.
Cathedral of Saint Mary the Virgin (Dome Church)
トーンペアにある大聖堂.
住所:Toom-Kooli 6, Tallinn
塔に登るには5ユーロですが,タリンカードで無料になります.
136段くらい.くるくると上り続けます.暗い場所もありました.
69mの大聖堂の尖塔からの眺めです.このバロックスタイルの尖塔は1770年代後半に作られたものです.くるくるのらせん階段...とくに下りは目が回るので気を付けてください”
トーンペア(Toompea)に木造教会が建てられたのは1219年でした.しかしトーンペアにある建物は1684年に起きた火災でほとんど消失しています.大聖堂の内装は火災後,新たにデザインされたものなのだとか.
教会内にはバルト貴族の紋章が飾られています.動物や人がデザインされたものもあり,細かい部分まで丁寧に作られていました.祭壇に施された彫刻も美しかったです.大聖堂だけなら2ユーロで入ることができます.
今回のお散歩で紹介したタリン旧市街の観光スポットは月によって営業時間や曜日が大きく異なります.「6月から8月の間は毎日,10‐17時くらいまで」という所が多いですが,詳細は
https://www.visittallinn.ee/eng/visitor/see-do/sightseeing?location-=Old%20Town
で検索してみてください.
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
エストニア
バルト三国の最も北に位置する国で,ラトビア,ロシアとは陸続きで国境を接しています.バルト海を挟んで北側にはフィンランドがあり,ヘルシンキとタリンの間ではフェリーも運行されています.言語や文化はフィンランドなどの北欧とよく似ていると言われており,バルト三国でエストニアだけが異なる言語グループに属しています.
2011年にバルト三国で最初にユーロを導入しました.EUへは2004年に加盟しています.
IT立国化が推進されているエストニアでは国政選挙もネット上で行うことができ,ITを通じた効率化が進められています.マイナンバーのICカードも普及しており,行政や納税の時だけでなく銀行のオンラインログインなどにも利用されています.インターネット電話サービスのSkype(スカイプ)がエストニアで開発されたことも有名です.ITイノベーション産業の誘致・育成が積極的に行われており,日本との間ではIT・サイバー分野での協力が行われています.
国名 | Republic of Estonia(エストニア共和国) | |
人口 | 131万人 | |
面積 | 約4.5万平方キロメートル | |
言語 | エストニア語 | |
通貨 | ユーロ(2011年に導入) | |
時間 | UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間) |
二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店.
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
エストニア エストニアの古き町並みと田園,ISBN 978-9985-9969-04.
Visit Estonia:http://www.visitestonia.com/en/
visittallinn:https://www.visittallinn.ee/jp