【訪問日:2015年9月】
観光の時間です.
今日はエストニアの「タリン(Tallinn)」でお散歩です.
1154年の記録が残るタリンは北欧で最も古い首都と言われています.
中世の面影を残す美しい都市タリン.タリン歴史地区(旧市街)は1997年より世界遺産に登録されています.中世の建築物が多く現存しており,保存状態も良いと評価されています.タリン旧市街はトーンペア地区(Toompea,高台地区)と下町(All-linn)に分けられます.
Raekoja plats(Town Hall Square)
旧市庁舎のあるラエコヤ(Raekoja)広場です.
タリン旧市街の‟下町”の中心であり,ここに市場があったという1313年の記録が残っているそうです.冬にはクリスマスマーケットが開かれます.
「広場にある丸い石の上からはタリン旧市街で有名な5つの尖塔を見ることができる」と紹介されていました.丸い石はどこかなぁ...???
あ‼ あった.ちょっと探すのが大変でした.
この上に立ってみると....《ころ》「見える⁉」《わん》「見えないよね.ちょっとずれた場所からなら,見えるような気がする」
5つの尖塔を見るには‟with a little stretching”というか,少し移動した方が見える気がします.
旧市街の中でも600年の歴史がある旧市庁舎は,重要な建物です.ラエコヤ広場の南側にあります.
正面のアーチ型のアーケードが特徴的です.タリン旧市庁舎は北欧で現存する数少ないゴシック様式の建物なのだそうです.建物の東側には8角形の塔が設置されています.塔のてっぺんにいるのが「トーマスおじいさん(Vana Toomas)」タリン旧市街のシンボルです.兵隊の形をした風見で,初めて設置されたのは1530年とのこと.1996年には3代目となる「トーマスおじいさん」が設置されました.
City train
タリン旧市街の石畳の道を走ってくれます.
大人6ユーロです.だいたい20分くらいのツアーのようです.乗り場はKullassepa 3付近にありました.旧市庁舎の近く(ラエコヤ広場とは反対側)です.
St.Olav's Church(聖オレフ教会)
旧市街で最も高い建物が聖オレフ教会です.
聖オレフ教会は完成当時,世界一高い建物でした.ゴシック様式の尖塔は159mの高さがあり,航海の目印として利用されていたそうです.
この建物にまつわる伝説があります.
高い塔を建設する資金がなく困っていた町.その時,現れた見知らぬ男性は「自分の名前を知ることができたら無償で教会を建てる.しかし,名前を知ることができなかったら町に建設費を支払ってもらう」という条件で塔を作り始めました.完成間近,十字架を尖塔のてっぺんに飾る時,名前を知った町の人が彼の名を叫びました.驚いた男性「オレフ」は塔の上から落ちてしまいました.地面に叩きつけられたとき,ヒキガエルと蛇が彼の口から出てきて,体は石になってしまいました.オレフを哀れんだ市民は,教会に彼の名を付けたと言われています.
石像は教会の外壁沿いにあるのですが,ちょっとわかりにくい場所でした.私有地のような雰囲気があり入りにくかったのですが「oleviste kogudus」と書かれた門を入っていくとあります.
教会の名に関する説はもうひとつあり,聖人となったノルウェー王オーラフ2世に由来するとも言われています.
タワーについては「タリンで上った思ひ出」をご参照ください.
The Three Sisters(Kolm Õde)
「三人姉妹」の名前で知られる中世の住居です.
住所:Pikk 71, Tallinn
《わん》「ラトビアの首都リーガの旧市街には三人兄弟がいたね”(ラトビア 「リーガ旧市街」の思ひで…)」
上の方の壁から突き出ているのは‟梁”です.ここには滑車が取り付けられ,荷物を上階の倉庫に運んでいました.壁には荷物を引き上げて受け渡すための扉が3ヵ所あります.三人姉妹の家は典型的な中世の商人の家の造りとなっているそうです.
現在,三人姉妹はホテルとして営業しています.
St. Alexander Nevsky Cathedral
トーンペアにあるアレクサンデル・ネヴスキー大聖堂は1900年頃に建てられた聖堂.
伝統的なロシア教会の様式に習って建てられています.トームペアの丘にあることで,5つのドームを持つこの聖堂のシルエットがタリンの町に加わることになります.
住所:Lossiplats 10, Tallinn
開館時間:月曜から金曜8:00-16:00
お散歩をした時,朝のお祈り中でしたが見学してよいとのこと.入場は無料です.写真撮影は禁止です.ショップも併設されており,ポストカードなどを売っていました.
この大聖堂にはタリンで最も大きな鐘が取り付けられています.サンクトペテルブルク製の鐘は11個あり,最も大きなものは,それだけで15トンもあるそうです.
Estonian History Museum(eesti ajaloomuuseum)
トーンペアから港まで続くタリンで最も長い通り,Pikk通りにあるのがギルドハウス(Great Guild Hall,大ギルド会館)です.
住所:Pikk 17, Tallinn
営業時間:毎日10:00-18:00(10月1日から4月30日は水曜休館)
URL:http://www.ajaloomuuseum.ee/en
1410年に建てられギルドの集会やパーティーが行われていた大ギルド会館は,エストニア歴史博物館になっています.入館料は5ユーロですが,タリンカードで無料になります.
エストニアの人々がどのように生活してきたのかが紹介されています.先史時代から20世紀までと展示内容は盛りだくさんな感じです.
ゲーム感覚で遊びながら学べる展示もありました.
タリンもハンザ同盟の一員でした.西ヨーロッパのハンザ都市とロシアを結ぶの貿易の中継地として栄えました.不凍港の北限であるタリンが中継地としてどのような役割を果たしていたか,どんなものが行き来していたかなどが紹介されています.
武器の部屋もあり,展示されている武器の音を聞くことができるタッチパネルがありました.
Holy Spirit Church(Püha Vaimu kirik)
Holy Spirit Church(聖霊教会)は14世紀初めごろの記録が残る古い教会です.13世紀以前からあるのではとの説もあります.
住所:Pühavaimu 2, Tallinn
入館料は1.5ユーロですが,タリンカードで無料になります.
聖霊教会が現在の姿となったのは14世紀ごろで,尖塔は1688年に完成しました.教会内には宗教改革での破壊を逃れた貴重な文物が残っています.
1483年に作られた主祭壇,1597年に作られたルネサンス様式の説教壇,彫刻が施された聖歌隊席,16世紀以降に作成されたシャンデリアやベンチなど評価の高い作品がたくさんあります.
教会の外壁にはタリンで最初に取り付けられたと言われる公共時計があります.
クリスチャン・アッケルマンによる木造大時計(1684年製)の四隅には,福音書記者が彫られています.
今回のお散歩で紹介したタリン旧市街の観光スポットは月によって営業時間や曜日が大きく異なります.「6月から8月の間は毎日,10‐17時くらいまで」という所が多いですが,詳細は
https://www.visittallinn.ee/eng/visitor/see-do/sightseeing?location-=Old%20Town
で検索してみてください.
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
エストニア
バルト三国の最も北に位置する国で,ラトビア,ロシアとは陸続きで国境を接しています.バルト海を挟んで北側にはフィンランドがあり,ヘルシンキとタリンの間ではフェリーも運行されています.言語や文化はフィンランドなどの北欧とよく似ていると言われており,バルト三国でエストニアだけが異なる言語グループに属しています.
2011年にバルト三国で最初にユーロを導入しました.EUへは2004年に加盟しています.
IT立国化が推進されているエストニアでは国政選挙もネット上で行うことができ,ITを通じた効率化が進められています.マイナンバーのICカードも普及しており,行政や納税の時だけでなく銀行のオンラインログインなどにも利用されています.インターネット電話サービスのSkype(スカイプ)がエストニアで開発されたことも有名です.ITイノベーション産業の誘致・育成が積極的に行われており,日本との間ではIT・サイバー分野での協力が行われています.
国名 | Republic of Estonia(エストニア共和国) | |
人口 | 131万人 | |
面積 | 約4.5万平方キロメートル | |
言語 | エストニア語 | |
通貨 | ユーロ(2011年に導入) | |
時間 | UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間) |
二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店.
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
エストニア エストニアの古き町並みと田園,ISBN 978-9985-9969-04.
Visit Estonia:http://www.visitestonia.com/en/
visittallinn:https://www.visittallinn.ee/jp