エストニア 「カドリオルグ(Kadriorg)」の思ひで… 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2015年9月】

 
観光の時間です.
今日はエストニアの「タリン(Tallinn)」でお散歩です.

 

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ケスクリン地区の東側にあるのがカドリオルグ.ピリタ地区との境目に位置しています.エストニアの大統領官邸や各国の大使館が集まるエリアでもあります.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Kadriorg Park

 

エストニアがロシア領だった1700年代頃,ロシアのピョートル大帝によって造られた離宮と庭園です.このエリアの名前はカドリオルグ(Kadriorg).

 

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エカテリーナに対応するエストニアの女性名「カドリオルグ」とは「エカテリーナの谷/Ekaterinenthal (Catherine's Valley)」を意味します.ピョートル大帝の妻にちなんで名づけられたのだそうです.
池や噴水,森林公園がありKadriorg Parkと言われています.造園当時から公共のものとして開放されていたそうです.ピョートル大帝の夏の別荘地は,タリンでも美しい場所として人気で,たくさんの人が訪れています.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Kadriorg Art Museum

 

バロック様式のカドリオルグ宮殿は1718年から建設が始まり,完成までに5年の歳月を費やしました.イタリア人建築家Niccolo Michettiによる宮殿です.現在は美術館(Kadriorg Art Museum)として使用されています.

 

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住所:Weizenbergi 37, 10127 Tallinn
営業時間:
(5月から9月) 火曜から日曜10:00-18:00 ※水曜は20時まで
(10月から4月) 水曜から日曜10:00-17:00 ※水曜は20時まで
チケットの購入は閉館30分前まで.

 

入館料は5.5ユーロですが,タリンカードで無料になります.

美術館ということで16世紀から20世紀のロシアや西欧アーティストの作品が展示されています.

 

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絵画や彫刻など9000近い作品があるそうです.もちろん,それらも素晴らしいのですが...宮殿の建物にも魅力があります. 

 

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天井に描かれた絵や漆喰の豪華な装飾など見どころはたくさんあります.

 

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豪華に装飾されたメインホールはエストニアで最も素晴らしいバロックスタイルの建築物だと言われています.
落ち着いた雰囲気の部屋もありました. 

 

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木の色が生かされた部屋です.壁の部分は細かく彫り込まれていたり,寄木細工のように木を組み合わせて模様が描かれていたりと凝った造りになっていました.

宮殿の窓から見える手入れの行き届いた庭も素敵です. 

 

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 【カフェで休憩】
カドリオルグ宮殿のミュージアムにはカフェが併設されています.
せっかくなので,ちょっと休憩...

 

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カプチーノとケーキを食べました.全部で12.1ユーロでした.
《ころ》「カプチーノ” 可愛くデコレーションしてくれたね♪」


近所にエストニア大統領官邸ができるまでは,この宮殿の一部が大統領のオフィスや邸宅として使われていたのだそうです.ちょうどその頃(1930年代)に晩餐会のホールが拡大されるなど改装されています.本格的なリノベーションが行われたのは1991年からです.歴史的な文献を参考にし,できるだけオリジナルのデザインに近づけた修復が施されました.それぞれの部屋の色使いにもこだわったそうです.

 

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18世紀当時にあった,屋根部分の手すりも復元されたそうです.


宮殿の周りには警備室やアイスセラーといった宮殿付属の建物がありました.それらの建物は現在,カフェやミュージアムとなっています. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain The Mikkel Museum

 

カドリオルグ宮殿(Kadriorg Art Museum)の隣にあるのがミッケルミュージアム(The Mikkel Museum)です.この建物はカドリオルク宮殿の調理室だったそうです.

 

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住所:Weizenbergi 28, 10127 Tallinn
営業時間:
(5月から9月) 火曜から日曜10:00-18:00 ※水曜は20時まで
(10月から4月) 水曜から日曜10:00-17:00 ※水曜は20時まで
チケットの購入は閉館30分前まで.

URL:http://mikkelimuuseum.ekm.ee/en/


入館料は3.5ユーロでしたが,タリンカードで無料になりました.
個人収集家Johannes Mikkel(1907–2006)が寄贈した絵画や陶器が展示されています.

 

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エストニア南部Võnnuで生まれたJohannes Mikkelはタルトゥでビジネスなどを学びました.その頃からアートに興味があったそうです.第二次世界大戦後,タリンへ移り住み商業分野で何十年か働きました.アンティーク店のマネージャーとして働いたこともあるそうです.1995年,彼はArt Museum of Estoniaへコレクションを寄付しました.

16世紀のドイツの木版画,18世紀の中国やロシアで造られた陶磁器もコレクションの対象でした.

《ころ》「あ‼ うちわがある! なんだか偉そうに展示されているねぇ」 

 

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説明が書かれたパネルには‟扇子”と‟うちわ”の構造的違いが述べられていました. 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain Eduard Vilde Museum(Eduard Vilden museo)

 

エストニアの作家Eduard Vilde(1865-1933)のミュージアムです.

 

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住所:Roheline aas 3, Tallinn Kadriorg
営業時間:水曜から日曜11:00-17:00
URL:http://linnamuuseum.ee/vilde/en/


カドリオルグパークにあるバロックスタイルの木造の家.工事中でした.1927年からVildeが家族とともに過ごした家がミュージアムとなっています.工事中でも営業していました.入場料は2ユーロですが,タリンカードで無料になりました.

 

1902年に出版された小説「Mahtra sõda」がVildeを著名な作家にしました.また1916年に出版された「Mäeküla piimamees」はVildeの最高傑作と言われています.

 

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小説だけではなく演劇の脚本も行っていたそうです.

旅行をして新しい発見をすることに子供のころから熱中していたVilde.1889年には長期の旅に出ており,ジャーナリストとしてリーガに滞在したそうです. 

 

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旅は作家としてのVildeに影響を与えました.異国の地やそこで暮らす人々は,書き物の‟材料”となったそうです.1900年にはオランダ,ドイツ,フランス,オーストリア,ハンガリーなどへも行っています.旅から戻った彼は「Two Months in Central Europe」というトラベログ(旅行に関する情報誌)を書きました.

ミュージアム内には本を読むスペースがありました. 

 

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森をイメージした空間で,くつろいで読書ができます.


作家としてのVildeの生涯を紹介したミュージアムですが,彼が最後の日々を過ごしたこの家には家具もそのまま残されています. 

 

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キッチンには,鍋などの道具類も展示されていました.室内のドアやタイルストーブは当時のものが残っているのだとか.

 

カドリオルグにはもうひとつ,エストニアを代表する作家Anton Hansen-Tammsaare(1878-1940)のミュージアムがあります.

 

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A. H. Tammsaare Museum(http://linnamuuseum.ee/tammsaare/en/)です.
こちらもタリンカードで無料になります.

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

 


  

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain エストニア

 

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バルト三国の最も北に位置する国で,ラトビア,ロシアとは陸続きで国境を接しています.バルト海を挟んで北側にはフィンランドがあり,ヘルシンキとタリンの間ではフェリーも運行されています.言語や文化はフィンランドなどの北欧とよく似ていると言われており,バルト三国でエストニアだけが異なる言語グループに属しています.
2011年にバルト三国で最初にユーロを導入しました.EUへは2004年に加盟しています.
IT立国化が推進されているエストニアでは国政選挙もネット上で行うことができ,ITを通じた効率化が進められています.マイナンバーのICカードも普及しており,行政や納税の時だけでなく銀行のオンラインログインなどにも利用されています.インターネット電話サービスのSkype(スカイプ)がエストニアで開発されたことも有名です.ITイノベーション産業の誘致・育成が積極的に行われており,日本との間ではIT・サイバー分野での協力が行われています.

 

国名 Republic of Estonia(エストニア共和国)

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人口 131万人
面積 約4.5万平方キロメートル
言語 エストニア語
通貨 ユーロ(2011年に導入)
時間 UTC+2(日本時間 -7時間,夏季は -6時間)

 

【参考ホームページ・参照文献】

二宮書店編集部(2016)「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版」二宮書店. 

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

エストニア エストニアの古き町並みと田園,ISBN 978-9985-9969-04.

Visit Estonia:http://www.visitestonia.com/en/

visittallinn:https://www.visittallinn.ee/jp