【訪問日:2016年8月】
博物館の時間です.
今日はデンマークの「Aarhus(オーフス,古いスペルではÅrhus)」でお散歩です.
オーフスの大変な観光地といえば,前回お散歩した野外博物館デン・ガムレ・ビュ(Den Gamle By)ですが,もうひとつ大規模な博物館があります.モースゴー先史博物館(MOMU Moesgaard Museum)です.
MOMU Moesgaard Museum
オーフス市街の南,8㎞ほど離れた地点にある博物館.マルチメディアを駆使した博物館で,その革新的な展示方法は世界的に評価されています.最も貴重とされる展示物はグラウベールマン(Grauballe Man:またはグローバレ人)と呼ばれるミイラです.2016年夏にお散歩したときの入館料は130 DKKでした.
ロビーの大階段の周囲には双眼鏡がありました.外が見えるわけではないのにみんな一生懸命にのぞいています.
双眼鏡が向いている方向は階段に展示されている人形たちの方向です.双眼鏡を通してみると階段部分が草原のようになって,進化途中の人類がそこにいるかのように見えます.双眼鏡を動かすことで,草原と化した周囲を見渡せます.
《ころ》「こういうのを拡張現実っていうの!?? よく分からないけれど,珍しい展示方法だね”」
エントランスのあるフロアに加え,大階段の上下に展示フロアがあります.
さっそく休憩です♪
MUSEUM CAFÉ
ケーキやコーヒー,ベーグルやスープといった軽食もあります.
ケーキ2つとアイスコーヒーで101 DKKでした.右のケーキはmoesgaardkage(38 DKK)です.3層になっているケーキで,アーモンドから作るマルチパンも使われていました.癖の少ない味でした.チョコレートたっぷりのケーキ.砂糖もたっぷりで元気になりました.
エントランスのフロア
2016年夏にお散歩したときの展示はローマ帝国におけるコロッセオ(Colosseum),戦士グラディエーター(Gladiator)でした(2016年9月11日までのエキシビション).
大規模スクリーンで円形闘技場の1日が上映されます.ライオンの出てくる場面は,スクリーンの下に設置された人形と映像が連動していましたよ! 剣闘士の稽古の場面や皇帝の登場,客が入る前に掃除をする人の姿など再現されるのは戦いの場面だけではありません.朝,昼,夜と時が移り変わり劇場全体の照明も変化します.アニメーションと人間の演技する映像が融合した作品でした.大きなスクリーンで実物大に近い迫力のある映像を楽しめました.
この展示が気に入った《ころ》.朝から夜の映像を2周半くらい見てしまいました(本当は疲れていて立ち上がれませんでした).記念撮影もしました.
《ころ》「うまく撮れてる!??」
大階段の下のフロア
階段に展示された人類の祖先とすれ違いながら,先史時代の展示室へ向かいます.
下のフロアの展示テーマは「People from the past」.Bronze Age(青銅器時代),Iron Age(鉄器時代),ヴァイキング時代(Viking Age)に分かれています.
モースゴー先史博物館の展示方法は印象的でした.
タッチパネルで展示物の背景を知ることができるのはもちろん,発掘された品が並んでいる展示ケースの後ろにスクリーンがあり,アニメーションが映し出されているところもありました.大きな2つのスクリーンで戦いのシーンを映し出している場所もあり,スクリーンの間に立ち当時の戦いの様子を感じることができます.
お目当てのミイラがいるのはこのフロア.
グラウベールマンは1952年4月に発見された遺体.ユラン半島(ユトランド)中部にあるグラウベール村近郊の泥炭で発見されました.遺体は,泥炭の中にあったため腐食を免れました.あまりにも生々しかったため,当初は殺人事件と間違えられたのだとか.
鉄器時代(紀元前250年頃)のものですが,その体は完璧に近い状態で保存されていたそうです.発掘当時の衝撃がわかる場面です.
グラウベールマンの展示の隣では,発掘や調査に関する10分くらいのフィルムが放映されていました.どうして,どうやって死んでしまったのか,最後に食べたものは何かなどが研究により解明されています.彼の命は豊作祈願の生贄として神にささげられたものだとの研究結果が出ています.
レントゲン,型取りなど研究のためにけっこう触られているようです.発掘後,質が悪化してしまいましたが,今でも髪の毛が残っています.
2000年以上前の人間が残っているだなんてすごいですね” 目,鼻,歯があった部分,そして足の指などかなりリアルに残っています.イメージしていた“ミイラ”とは全く違った質感です.人間だと思うと怖いけれど,人間とは思えない不思議な感じでした.
大階段の上のフロア
上の階の展示は「The Life in the Dead」というテーマでした.
人類学に関するエキシビションです.メキシコやオーストラリアといった国における死に関する考え方などをテーマに展示されていたと思います.多文化における生死感を学ぶ場でしょうか.
メキシコの骸骨とダンスできる展示もありました.
スクリーンの前に立つと,自分の姿が骸骨になって映し出されます.鏡のように自分と同じ動きをする骸骨.陽気な音楽に合わせてダンスを楽しめます♪
物語風にしたり,アニメーションで再現したり,音や光を有効に活用し展示しています.考古学や多文化に関して学び理解する工夫がたくさんありました.
中庭
モースゴー先史博物館は展示方法が斬新なだけではありません” 建物もとってもおしゃれなデザインです.
2014年に完成した建物はヘニング・ラーセン(Henning Larsen Architects A/S)の設計です.
屋根の上が中庭(patio)になっています.そこからの景色はとても美しく,遠くに見える森や海,空といった自然と一体となった姿を楽しめます.
館内の展示を見た後で疲れている《わん》と《ころ》にとっては,ゆるい傾斜でも屋根の上まで歩くのは大変でした.館内には静かに過ごせるラウンジがあります.
見学に疲れたら,大きな窓越しに見える自然を楽しみながら休憩しましょう”
オーフス観光は街中もいいですが,モースゴー先史博物館とデン・ガムレ・ビュがおすすめです.とっても良いミュージアム達ですが広いので疲れます.
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
【今回の観光地】
MOMU Moesgaard Museum
Moesgård Allé 15 8270 Højbjerg
営業時間:火曜日から日曜日の10:00-17:00(水曜日は21時まで).
公式URL:http://www.moesgaardmuseum.dk/en/
【モースゴー先史博物館へのアクセス】
オーフスの街から車で15分程度です.道路沿いにはMOMU Moesgaard Museumの看板が出ていました.無料の駐車場があります.またCity bus 18がモースゴー先史博物館まで来ていました.
デンマーク
ヨーロッパ大陸の北部に位置する国で,ドイツと陸続きのユラン(ユトランド)半島,フュン島,シェラン島,スウェーデン南部を挟んで西側に位置するボーンホルム島といった主要な島に加え,450程の島からなる国です.童話作家アンデルセンが生まれた町,オーデンセはフュン島にあります.また,アイスランドの東に位置するフェロー諸島やグリーンランドはデンマーク領です.
世界中で親しまれている玩具レゴ(LEGO)はデンマーク生まれのブロック玩具です.レゴグループは2030年までに石油を使わない素材への全面切り替えを表明しています.企業だけではなく,デンマークは環境対策先進国として様々な対策を行っています.例えば風力発電が大規模に導入されており,(2015年末時点で)516基もの洋上風力発電風車が設置されています.
2000年の国民投票でユーロ参加を否決しており,独自通貨デンマーク・クローネを(DKK)使っていますが,DKKをユーロにペッグさせ,対ユーロ変動幅を一定幅に維持しているため,ユーロとの為替レートが大きく変動する事はありません.
国名 | Kingdom of Denmark(デンマーク王国) | |
人口 | 570万人 | |
面積 | 約4.3万平方キロメートル | |
言語 | デンマーク語 | |
通貨 | デンマーク・クローネ(DKK) | |
時間 | UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間) |
川野祐司(2016)「ヨーロッパ経済とユーロ」文眞堂.
TROJABORGS FORLAG「デンマーク-ある王国-」(ISBN 87-89868-60-9).
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
Denmark.dk:http://denmark.dk/en/quick-facts/map-of-denmark/svendborg/
VisitDenmark:http://www.visitdenmark.com/denmark/tourist-frontpage
Aarhus kommune:http://www.aarhus.dk/da/omkommunen/english.aspx
VisitAarhus:http://www.visitaarhus.com/ln-int/denmark/tourist-in-aarhus