【訪問日：2016年8月】
道路の時間です．
今日はデンマークでお散歩です．
今回はデンマークのシェラン島（Sjælland）とフュン島（Fyn）を結ぶ橋「Storebæltsbroen（大ベルト海峡橋）」を紹介します．
首都コペンハーゲンのあるシェラン島とその西に位置するフュン島は大ベルト海峡（Great Belt）で隔てられています．
画像はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Karte_Storeb%C3%A6lt-Br%C3%BCcke.pngより．
ストア海峡とも呼ばれるこの海峡が18kmと最も狭くなる地点に，大ベルト海峡橋が架けられています．この交通路はグレートベルト・リンク（Storebæltsforbindelsen）と呼ばれています．
デンマークで通行が有料の橋
レンタカーを借りてデンマークドライブ♪
デンマークの道路は無料ですが，2ヵ所の橋だけは有料です．それらの橋は（Storebæltsbroen）と（Øresund Bridge）です．
Øresund Bridge（オーレスン橋）はスウェーデンとデンマークをつないでいます（オーレスン橋については「スウェーデン「オーレスン橋」の思ひで…」をご参照ください）．Storebæltsbroen（大ベルト海峡橋）はコペンハーゲンのあるシェラン島とオーデンセのあるフュン島をつないでいます．
島の多いデンマークは他にも島々を結ぶ橋がいくつもありますが，上記2つの橋以外は無料で通行できます．
Storebæltsbroen
大ベルト海峡橋は1988年から10年近い歳月をかけて建設されました．自動車用道路の開通は1998年6月のことで4車線の道路に加え，鉄道も通っています．鉄道部分は1997年に開通しています．
橋が繋いだのはデンマークのシェラン島とフュン島です．しかし，もっと大きな視点で見ると橋の完成によりヨーロッパ大陸とデンマークの首都コペンハーゲンが，さらにはスカンジナビア半島が陸続きになったと言えます．ドイツと国境を接するデンマークのユラン半島とフュン島は1970年に架橋されており，2000年にはデンマークとスウェーデンをつなぐオーレスン橋が完成しています．
自動車から見た大ベルト海峡橋
2つの橋とトンネル部分で構成される大ベルト海峡橋．1日平均で2万7000台の車が行き来しているそうです．グレートベルト・リンクは海峡の中央にある島Sprogøを境に，Østbroen（東橋）とVestbroen（西橋）に分けられています．
【東橋（Østbroen）】
東橋はシェラン島とスプロウエ島（Sprogø）をつないでおり長さは6790mです．スプロウエ島とは海峡の真ん中にある小島です．
コペンハーゲンからオーデンセへ欧州自動車道路E20号線を利用するときに渡る（グレートベルト・リンクで）最初の橋は，中央径間（橋脚と橋脚の距離）が1624mという吊り橋で，世界で3番目の長さです．
建設当時，本当は“世界一”となるはずだったのですが...工期の遅れで世界一の座を逃したそうです．因みに世界一吊り橋となったのは1998年に完成した明石海峡大橋（中央径間1991m）です．
橋は橋脚と橋脚間の長さで世界一を競うため，その長さを表す中央径間や中央支間で比較されます．したがって，橋の“全長”と長さのランキングが必ずしも一致するわけではありません．
東橋の最大桁高は65mもあり，橋の下における大型船の往来を可能にしています．豪華客船がこの下を通りますが，満潮の時には隙間がわずか4cmしかないこともあるそうです．
海面からの高さが高いだけではなく，この橋にはデンマークで最も高いと言われる場所もあります．それが254mのパイロン．パイロンは吊り橋のケーブルを支える塔状の構造物です．
2つあるパイロンのてっぺんは254m．高い山がなく比較的平坦な土地のデンマークの最高地点は海抜173mなので...254m地点は国内最高地点となるのだとか．
東橋は道路用の橋で，鉄道はトンネル内を通っています．
【西橋（Vestbroen）】
1994年に完成した西橋は全長6611m．道路橋に併走するかたちで鉄道橋が建設されています．
車で走っているとき，電車とすれ違いました．進行方向が逆だったので，あっという間に行ってしまいました...
西橋は東橋のように桁高がないので下を通れるのは小型船のみなのだとか．
この写真は東橋から見たスプロウエ島と西橋です．
【Toll station】
料金所はシェラン島のHalsskovあります．橋の東側です．
車でオーデンセ方面へ向かっていると，料金所あり（Toll Road）の看板が出てきます．
支払い方によって進むレーンが異なります．
レンタカーでの旅行の場合は，青か黄色になると思います．
料金所のレーンは12車線設けられており，黄（Manned lanes），青（Manned lanes），緑（BroBizz-lanes）に分かれています．
黄色のレーンは有人レーンです．現金やカードなどで支払うことができます．右車線に設けられています．
青色のレーンはクレジットカードで支払います．中央の車線に設けられています．
緑色のレーンはBroBizz所有者が通過できるレーンです．左車線に設けられています．
BizzというのはETCのようなものです（詳しくはhttps://www.storebaelt.dk/english/station）．
今回のお散歩では，レンタカーを借りる際に「大ベルト海峡橋を往復する」ということを伝えていたので，A4の紙に印刷されたチケットを2枚くれました．行きと帰りの分です．レンタカー会社はSixtです．通行料金はレンタカー会社に支払う形になります．
これはオーデンセ（さらに西のユトランド）へ行くときに使ったチケットです．「これをもって黄色い有人のレーンを通過してください」と言われました．
この紙は回収されてしまいましたが，コペンハーゲンに戻るときに使った紙は回収されませんでした．自分で機械にスキャンするオーレスン橋とはことなり，係の人に渡すだけなので安心です．
ちなみに《わん》と《ころ》の前を走っていた人は，黄色の有人レーンで現金を支払っていたようです．
【通行料金】
自動車の通行料金は6m以下で片道240 DKK（片道34ユーロ）です．支払いに往復路で同じクレジットカードを使い，ある条件を満たすと割引になります（往復で420 DKK（59ユーロ））．ある条件とは「金曜日の14時以降から日曜日の夜中までに往復する」といった条件です．土日祝の往復や夜間の往復などいくつかの条件と価格が設定されています．詳しくははhttps://www.storebaelt.dk/files/manually_uploaded_files/priser-2016-010116.pdf
参照．
つぎはどこをお散歩しようかなぁ...
大ベルト海峡橋
川野祐司（2016）「ヨーロッパ経済とユーロ」文眞堂．
外務省：http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
VisitDanmark：http://www.visitdenmark.com/denmark/tourist-frontpage
