チェコ「チェスキークルムロフ城(zámek Český Krumlov)」の思ひで…

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【訪問日:2017年8月】


観光の時間です.
今日はチェコの「チェスキークルムロフ(Český Krumlov)」でお散歩です.

 

f:id:osanpowanko:20180803204921j:plain

 

チェコの南ボヘミア地域にある世界遺産【チェスキー・クルムロフ歴史地区】をお散歩します.
今回はヴルタヴァ(Vltava)川の川岸,岩の上に建つ城,チェスキークルムロフ城(Český Krumlov state chateau)です.

 

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain チェスキークルムロフ城

城の始まりは13世紀にまでさかのぼります.
統治者が変わるたびに増設・改築が行われたためいろんな時代の建築様式で成り立っているそうです.チェスキークルムロフ城は41もの建物から成ります.さらに,城の中庭は5ヵ所もあり,庭園は12ヘクタールの広さがあります.チェコではプラハ城に次ぐ規模のお城です.

【Layout of the Český Krumlov Castle】

f:id:osanpowanko:20180803204955j:plain

(Státní hrad a zámek Český Krumlov:http://www.castle.ckrumlov.cz/docs/cz/zamek_oinf_sthrza.xml


現在みられるような姿へと改築されたのは1700年後半のこと.
シュヴァルツェンベルク(Schwarzenbergs)家のヨセフアダム(Josef Adam)によってバロック様式の城となり仮面舞踏会の間(maškarní sál)やバロック劇場(Zámecké barokní divadlo)の改築も行われました.ヨセフは毎年のように城や庭を改築し,妻を喜ばせたのだとか.


遠くに見える赤い門が城への入り口.Layout of the Český Krumlov Castleの一番右側です.

 

f:id:osanpowanko:20180803205035j:plain

 門を通ると見えてくるのが城の塔.

f:id:osanpowanko:20180803205134j:plain

桃色で塗られた塔はルネッサンス様式の装飾が特徴です.塔のある小城の外壁にフレスコ画が描かれたのは1590年のことだそうです.1993年に復元されました.塔の横を通り過ぎ,さらに進んでいくと人だかりが...

f:id:osanpowanko:20180803205153j:plain

《ころ》「みんな何を見ているんだろう!?」
柵の方へ近づいてみると...

f:id:osanpowanko:20180803205218j:plain

 《ころ》「!!‼ クマ」
城のお堀ではクマが飼育されています.メス熊の名前はマリア・テレジアらしいです.クマの飼育は16世紀に始まり,18世紀初頭からは継続的に飼育されているようです(その証拠に(!?)城内の見学ではクマの敷物を5個以上見ました...).
《わん》「むかし住んでいた貴族が,親戚関係があると信じていたオルシーニ家(イタリア語でクマの意味を持つ名前)にちなんでクマを飼い始めたらしいよ.」

1302年から3世紀に渡りこの地を統治した貴族,ロジュンベルク家の紋章には2頭のクマとバラがデザインされています.

図書館となっている新伯爵館は黒い外壁が特徴的.

f:id:osanpowanko:20180803205556j:plain

f:id:osanpowanko:20180803205618j:plain


よく見ると,植物と人間も描かれています.壁を装飾しているのはオランダ人画家による作品です.
伯爵館の図書室には貴重な本が5万冊以上保存されています.
《ころ》「城主となった貴族の中にはオペラやバレエを好んだ人もいて,演劇やオペラ,バレエの台本が書庫に約2400冊残されてるんだって! ここに保管されているのかな ⁇」


こちらは第3の中庭の眺め.

f:id:osanpowanko:20180803205945j:plain

この中庭を囲む建物は居住スペースで,2階部分にロジェンベルク(Rosenberg)家の領主とその家族が住んでいたそうです.

 

バロック劇場の近くからは,城の北側と屋内歩道橋の眺めを楽しめます.

f:id:osanpowanko:20180803205959j:plain

左に写っている白と青っぽい色で塗られた通路が屋内歩道橋です.吹き抜けの部分には彫刻が並んでいます.
《わん》「プラーシュチョビー橋っていうらしいよ.要塞を表す言葉だって.」
屋内歩道橋はお城と中庭をつなぐ上部,仮面舞踏会の間と劇場のロイヤルボックスをつなぐ下部で構成されています.コース2の見学ツアーで見ることができます.

川岸の岩の上に建つお城からは,対岸にある町もよく見えます.

f:id:osanpowanko:20180803210034j:plain

《わん》「左の高い建物がお城の塔,右に見えているのは町中にある聖ヴィート教会だよ!」

 

赤い門の入り口から入り,(最初に掲載したLayout of the Český Krumlov Castleでいうと右から左へ)ずっと歩いてきましたが...この先にもまだ建物があります.さらに,その後に続くのが城の大部分を占める庭園です.庭園のお散歩もできますが,今回は遠慮しました.
庭園内には夏の離宮もあるのだそうです...

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain お城の見学

チェスキークルムロフ城は城内の見学(2コース)に加え,バロック劇場の見学,城博物館,タワー, 厩舎があります(詳しくはhttps://www.zamek-ceskykrumlov.cz/en/plan-your-visit/tours).城とバロック劇場はガイドツアーでのみ見学できます.

自分で見学できるタワーや博物館(Castle Museum)のチケットだけを販売しているオフィスもあるので注意してください!! そこでは城の見学ツアーのチケットを購入できません.


今回は城内の見学,コース1のガイドツアーに参加しました.
チケット売り場はこんな感じ.

f:id:osanpowanko:20180803210323j:plain

f:id:osanpowanko:20180803210441j:plain

 

コース1のガイドツアーは,16世紀から18世紀ころに造られた部屋の見学.
コース2のガイドツアーは,19世紀ごろに造られた部屋の見学.

 

チェコ語のガイドでいいなら安く,待ち時間も少ない場合が多いです.
日本語のガイドブックを売っているので...《わん》「ガイドブックを買って帰ろう! チェコ語のツアーでいいよね.」
本やお土産はユーロでも買えます♪

 

【Tour Route I of Český Krumlov Castle】

コース1のガイドツアーは約1時間.
すぐに見学したかったので,チェコ語のツアーに参加しました.料金は150Kčでした(が,2018年は180Kčとなっています.チェスキークルムロフカード(ČESKÝ KRUMLOV CARD)というのもあり,城の博物館でも使えます).
ツアー開始時間まで少し待ちます.集合場所はここ.

 

f:id:osanpowanko:20180803210744j:plain

「Ⅰ.ROUTE OF THE CASTLE」と書かれた看板があります.時間になると係りの人が鍵を持ってやって来ます.


城内の撮影は禁止です.
《わん》「やっぱりガイドブックを買ってよかったね.日本語だし写真も掲載されてるし♪」

コース1では,ルネッサンス様式の部屋とバロック様式の内装の部屋を見ることができます.礼拝堂やダイニングルーム,ルネッサンス様式の控えの間などを見学します.
ダイニングルームには昔食べていたものも再現され,テーブルに乗せられていました.
《ころ》「昔からダックを食べていたんだね.」(チェコ「チェスキークルムロフでチェコ料理」の思ひで…

黄金の馬車と仮面舞踏会の間が印象的でした! 
ローマで製造された黄金の馬車.この馬車を使って,エッゲンベルク(Eggenberg)家がローマ教皇への贈り物を運ばせたそうです.ロココ装飾の傑作と言われている仮面舞踏会の間.ウィーンの画家に依頼し,にぎやかなフレスコ画の部屋となりました.描かれているのは謝肉祭の情景です.描かれた仮面劇の人物,135人の中には画家自身の自画像もあります.それぞれの人物に影が付けられているので立体的に見えるのだそうです.

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain バロック劇場

今回は見学しませんでしたが,チェスキークルムロフ城にはとても貴重なバロック劇場があります.

f:id:osanpowanko:20180803211157j:plain


ガイドツアーに参加すれば観客席や舞台装置の見学ができます.貴重な舞台セットや装飾品,衣装,小道具,台本などが保存されています.

 

チェスキークルムロフ城にあるバロック劇場は,バロック・ロココの舞台装置として現存する世界最古のものと言われています.1682年から存在していた劇場は,ヨセフ・アダムによって改修されました.改修工事にはウィーン宮廷劇場を手掛けていた建築家が推薦する職人たちによって行われたのだとか.舞台装置や装飾品もウィーンで活躍していたの芸術家が手掛けています.

1766年に完成したバロック様式の劇場.
今でもバロック時代のオリジナルの舞台装置が350も残されています.舞台には16の情景が用意され,バロック様式で描かれた背景は左右対称になっています.それが遠近感を生む仕掛けとなっているのです.仕掛け装置は木材.幕は舞台下のレールに沿って動かし,場面転換を行っています.
劇場の舞台装置は手動.幕の上げ下げや照明など,舞台の進行に伴い人が調節しています.照明はろうそくです.舞台前方には照明装置(反射板)があり,それを動かすことでろうそくの光を調節しています.音響効果のための装置も設置されており,風の音や雷の音などを人力で作り出しています.
舞台の床には特殊効果のための穴があるなど,現在の劇場に引けを取らない仕掛けを備えています.

 

1768年,当時の城主(ヨーゼフ・シュヴァルツェンベルク侯)が息子の結婚式のために歌劇を作らせ,この劇場で初演されました.その作品は,歌劇『Dove è amore è gelosia(愛のあるところ嫉妬あり)』.作曲者であるジュゼッペ・スカルラッティ(Giuseppe Scarlatti)自身が指揮をしています.この歌劇は約240年後の2011年,同じバロック様式の劇場で復活上演されています. 

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

  


【今回の観光地】

Český Krumlov state chateau

Zámek čp. 59,381 01 Český Krumlov

営業時間:各施設によって開館日,営業時間が異なります.
詳しくはhttps://www.zamek-ceskykrumlov.cz/en/plan-your-visit/opening-hoursで確認してください.

公式URL:https://www.zamek-ceskykrumlov.cz/en

  

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain チェコ

 

f:id:osanpowanko:20180803211638j:plain

 

ドイツ,ポーランド,オーストリアなどに囲まれた内陸国.
第二次世界大戦後はソ連邦圏に属し1989年に「ビロード革命」が起こるまで共産主義体制が続いた.ビロード革命の後,市場経済や欧州回帰への移行が始まった.スロバキアとの連邦国家が解消されたのは1993年のこと.チェコ共和国として独立し,NATO加盟(1999年)やEU加盟(2004年)を果たした.通貨はチェココルナ(CZK,Kč)を使っている.コルナ(もともとはチェコスロバキアコルナ)は2019年に発行100周年を迎える.スロバキアは2009年にユーロを導入したが,チェコはユーロ導入に積極的ではない.
チェコの大企業Skoda(シュコダ)は電車なども製造する重工業メーカー.シュコダ自動車(フォルクスワーゲンの子会社)が製造する車はヨーロッパや中国で多く販売されている.

 

国名 Czech Republic(チェコ共和国)

f:id:osanpowanko:20180621203514g:plain

人口 1,060万人
面積 約78,866平方キロメートル
言語 チェコ語
通貨 チェコ・コルナ(CZK)
時間 UTC+1(日本時間 -8時間,夏季は -7時間)

 

 

【参考ホームページ・参照文献】

川野祐司(2018)「ヨーロッパ経済とユーロ 補訂版」文眞堂.
二宮書店編集部(2018)「データブック オブ・ザ・ワールド 2018年版」二宮書店.

Petr Pavelec「チェスキークルムロフ 町と城のガイドブック」.

外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

CzechTourism:http://www.czechtourism.com/home/

Český Krumlov:http://www.ckrumlov.info/php/turista/?lang=en/